2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H04418
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣島 佑香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (60545143)
篠原 康雄 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 教授 (60226157)
吉田 賀弥 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (60363157)
成石 浩司 徳島大学, 病院, 講師 (00346446)
稲垣 裕司 徳島大学, 病院, 講師 (50380019)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人工細胞 / リポソーム / 抗菌ペプチド / 無細胞蛋白合成 / オーラルケア |
Outline of Annual Research Achievements |
人工細胞の細胞膜成分としてPhosphocholine 1,2-Dioleoyl-sn-Glycero-3(DOPC)と3-sn-Phosphatidylcholine (Egg Yolk)の2種類のリン脂質を用いて脂質液滴(直径14-170 um)を作製し,色素配合脂質である,Rhodamine-PE(Red)とNBD-PE(Green)を混和させ,蛍光顕微鏡での観察により作製液滴が2重層構造であることからリポソームの生成を確認した。 抗菌ペプチドの合成については,Lipocalin 2(LCN2), Secretory Leukocyte protease inhibitor(SLPI),beta-Defensin2(DEFB4A)およびS100A8などの鋳型DNAから無細胞蛋白合成キットを用いて各抗菌ペプチドの合成を行った。Western blotting(WB)によりペプチドの分子量を確認したところ,それぞれのリコンビナント蛋白のサイズより軽度の差が認められ,合成キット内容物のコンタミネーションが疑われた。そこで,合成したLCN2について質量分析によりLCN2蛋白が合成されていることを確認した。LCN2とSLPIについては精製を目的としてHis-tagを組み込んだ鋳型DNAを作製し,これを用いて蛋白合成し,His-tag精製することによりLCN2の精製を行った。今後,SLPIとDEFB4AについてもHis-tag精製を行う予定である。 現在,リポソーム調製時にその内部に抗菌ペプチドを封入させるために予備実験を行っている。リコンビナントLCN2およびHis-tag精製したLCN2液を用いてリポソーム調製し,リポソーム内の液滴を回収して,このサンプル液のWBによりリポソーム内のLCN2を回収できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画のうち人工細胞の細胞成分となるリポソームの調製,抗菌ペプチドの無細胞蛋白合成系の確立および合成ペプチドのリポソーム内への封入などについては概ね順調に進行している。また,H31年度に予定していた人工細胞の抗菌能の検査の予備実験として蛍光色素基質反応性のSNAP遺伝子を組み込んだP.g菌の検出測定系の予備実験を開始している。一方,人工細胞の自己増殖能の確立については,その成分となる人工細胞膜の構成成分前駆体(Membrane precursorV*),反応両親媒性触媒や関連電解質の化学合成系が複雑であるため,またこれらの化合物が市販されていないため調達できておらず,現在,本実験の開始が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
H31年度は,SLPIとDEFBA4についてもHis-tag精製により,精製度の高い抗菌ペプチドの調製系を確立する。抗菌ペプチドを含んだリポソームの組織へのデリバリー法について,ペプチドを蛍光色素ラベルし,これを口腔上皮細胞培養系に添加するすることによりペプチドの細胞表面への定着,細胞内への取り込みを調べる。また,上皮細胞の構成蛋白であるケラチンやラミニンに対する抗体をリポソーム表面へ付与する方法,また,細胞接着関連蛋白のラミニンによるリポソーム表面修飾法についても検討を行う。さらに,テトラジンなどの共役物質を用いたリポソームの上皮細胞への接着やリポソーム薬剤の経皮注入で用いられているイオントフォレシス法による抗菌ペプチドを含んだリポソームの上皮細胞への挿入についても検討し,どの方法が効率よく細胞へリポソームを挿入できるかを比較検討する予定である。さらに,抗菌ペプチドを含むリポソームによる抗菌能を検討するために,SNAPタグ付きP.g菌の上皮細胞への接着評価系の確立を目指す。すでに,本研究に関連した予備実験として,SNAPタグ付きP.g菌と培養上皮細胞との培養を行い,基質存在下での蛍光顕微鏡観察や蛍光測定を行った。上皮細胞に付着したP.g菌の顕微鏡観察は可能であるが,その強度の測定では蛍光強度が弱いため,適正な測定値は得られていない。今後,SNAP抗体を用いたWBでP.g菌接着レベルの評価の可能性についても検討を行う。一方,リポソーム細胞の増殖能の確立については,現在,膜脂質の構成性成分および反応系因子の入手や合成ができていない。今後,これらの関連する成分の合成委託先を探すとともに,リポソーム細胞の自己増殖法のその他の方法の検索も行う予定である。
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