2019 Fiscal Year Annual Research Report
医療的ケアが必要な在宅療養中の子どもと家族の災害に備えた協働支援プログラムの開発
Project/Area Number |
17H04451
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
佐東 美緒 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (20364135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高谷 恭子 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (40508587)
有田 直子 高知県立大学, 看護学部, 講師 (70294238)
田之頭 恵里 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90758905)
益守 かづき 久留米大学, 医学部, 教授 (20238918)
大川 宣容 高知県立大学, 看護学部, 教授 (10244774)
瓜生 浩子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00364133)
井上 正隆 高知県立大学, 看護学部, 講師 (60405537)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療的ケア / 在宅療養 / 協働支援プログラム / 災害 / 小児看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、[目標Ⅰ]医療的ケアが必要な在宅療養中の子どもと家族の災害時の実態把握を継続した。学会に参加する中で、北海道地震時の状況や医療的ケアを必要とする子どもと家族の実態について情報収集した。特に、停電時の対応については高知県でも課題が多く、学会参加によって繋がりを持てた研究者もおり、今後対応策を検討する予定である。[目標Ⅱ]子どもと家族を支援する地域住民と多職種との組織作りに関しては、今年度、医療的ケア児・医療的ケア児等コーディネーター養成研修の講師を務めた。コーディネーターに求められる資質と役割について講演し、高知県内に新たな繋がりを作ることができ、災害時の支援についても意見交換を行った。参加者には児童相談員も含まれ、多角的な意見を収集することができた。その他に、県内で医療的ケアのある子どものデイケアを行っている施設については、看護師の講演会参加や交流を継続して行っている。[目標Ⅰ・Ⅱ]で明らかになった結果と研究目的を踏まえ、①医療的ケアが必要な子どもと家族が、日頃の避難訓練を通して、子どもの身体状態や医療的ケアの方法、子どもの成長発達を地域住民や多職種に伝えられる、②地域住民や多職種が、子どもや家族と協働しながら、子どもの身体状態の安定に配慮し、福祉避難所を早急に設置して、医療的ケアの継続を通して身の安全、安楽を保証し、復興に向かうことができる、という大きな2本柱を意識して目標Ⅲに取り組んだ。[目標Ⅲ]シミュレーションを活用した「医療的ケアが必要な在宅療養中の子どもと家族の災害に備えた協働支援プログラム」の作成については、今後、実践を通して洗練化を行う予定である。①シミュレーションの活用可能性について、②実際に設定する場面の選定、③具体的な支援プログラムの内容の検討・作成を、参画するメンバーのパートナーシップを意識して行い、実施に到達できるようにと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は、「[目標Ⅰ]医療的ケアが必要な在宅療養中の子どもと家族の災害時の実態を把握する」「[目標Ⅱ]子どもと家族を支援する地域住民と多職種の組織作りをする」「[目標Ⅲ]シミュレーションを活用した「医療的ケアが必要な在宅療養中の子どもと家族の災害に備えた協働支援プログラム」を作成する」ことを目標としていた。計画通り、目標Ⅰの実態把握を学会参加、インタビュー、文献検討で行った。ただし、2月、3月に予定していたインタビューは、新型コロナ感染拡大に伴って中止せざるを得なかった。目標Ⅱは、大学全体で取り組む地震発生時の災害訓練時に、高機能シミュレータを用いてバギングをしながら、普段は呼吸器管理の必要な子どもが、地域住民とともに体育館に避難した後、地域住民が医療的ケアを持つ子どもや家族へどのような支援ができると考えるのか、インタビューを行なう予定であったが、2年連続で災害訓練当日、台風が接近し、訓練自体が中止となった。子どもの実際を見て意見を聞く場面を作ることは難しく、引き続き計画していく予定である。新たに医療的ケア児・医療的ケア児等コーディネーター養成研修で、医療関係者以外にも繋がりを持つことができたので、令和2年度以降、さらに意見交換ができるよう、アプローチしていく予定である。目標Ⅲについては、学内の研究者間で意見交換を行い、可能な限り検討を継続しているが、2月より新型コロナ感染拡大によって研究依頼ができなくなり、また、教員として学生対応に追われて学外での意見交換ができなかった。このように新型コロナ感染拡大に伴い、医療的ケアの必要な子どもや家族へプログラムが実施できない、インタビューや意見交換が一部できない、学術集会参加によって新な知見を得ることができない、天候の悪化よって計画した組織づくりに遅れが出ていることなどから、総合的に判断してやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染拡大に伴い、勤務先の研究活動自体が停止している。研究者は、臨床での実習も担当しており、実習場所以外の医療施設への出入り、県外への出張などができない状況にある。研究対象者も医療的ケアのある子どもと家族であるため、研究者との接触によって感染する可能性もある。県内の感染状況も把握しながら、研究対象者の健康問題が発生しない方法を研究者間で検討しながら、研究を進める予定である。新型コロナに関しては、これからも感染拡大が予測される。目標Ⅰについては、最大限、研究を遂行するために、Zoomなどリモート会議を用いて、インタビューやプログラムへの意見交換を行なう予定である。その場合は、個人情報が保護できるように、研究者間でルールを作るようにする。また、研究結果を広く社会に発信する方法として、ホームページの作成などを企画し、研究対象者の意見を集約できるような仕組みづくりを行う。目標Ⅱに関しては、大学全体で取り組む地震発生時の災害訓練時に、高機能シミュレータを用いてバギングをしながら、普段は呼吸器管理の必要な子どもが、地域住民とともに体育館に避難した後、地域住民が医療的ケアを持つ子どもや家族へどのような支援ができると考えるのか、インタビューを行なう予定である。時期は10月末であるので、インタビュー、もしくは、アンケートの郵送などを検討する。目標Ⅲ、Ⅳについて、本研究では、アクションリサーチの手法を用いて、実践の中で組織づくり、プログラムの洗練化を行う予定であったが、シミュレーションなど、方法を替えて実行可能性を探索する。研究全体の目標に変更はないが、研究方法については、研究者間で十分に検討し、成果をもたらすことができるようにする。昨年は研究成果の発表ができなかったため、令和2年度は計画的に発表できるように計画する。
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