2017 Fiscal Year Annual Research Report
保健師の健康危機管理能力向上のためのICT活用教材と教育プログラムの開発・評価
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17H04466
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大倉 美佳 京都大学, 医学研究科, 講師 (30361984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝澤 寛子 京都学園大学, 健康医療学部, 准教授 (80293819)
光井 朱美 京都学園大学, 健康医療学部, 講師 (20784416)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 健康危機管理 / 実践能力 / 文献検討 |
Outline of Annual Research Achievements |
「地域健康危機管理ガイドライン(平成13年3月)」で示されていることからも、健康危機管理に対応する保健師の社会的要請およびその重要性は窺い知れる。それ以降の大規模な健康危機の発生(東日本大震災、鳥インフルエンザなど)、あるいは終焉が想起できない健康危機管理(新聞ニュースで報道が途切れない虐待など)によって、更に保健師への期待度は高まっているといえる。しかしながら、健康危機管理に関する実践能力について明確化されているとは言い切れない。 そこでまず、健康危機管理に関する実践能力について文献検討を行なった。医学中央雑誌をデータベースとし、「健康危機管理」および「能力」で検索した結果、26件の文献が抽出された。これらの文献に加えて、「地域健康危機管理ガイドライン」で示されている内容を国の指針として重要であると捉えて、参照した。保健師経験を有する研究者3名で、7回にわたるディスカッションを通して、検討を行った。なお、平時の取り組みの重要性に焦点を当てたICT活用教材の制作の視聴前後の評価指標として用いることを想定しているため、文献検討時にも平時の取り組みに必要とされる実践能力であることを選択要件とした。 検討の結果、25項目がピックアップされた。行為レベルで評価できるように、また新人期の中でも2年目終了時での到達が望ましいレベルを想定し、文言の表現に修正を加えた。 今後は、これら25項目をベースとし、エキスパートによるノミナルグループテクニックを用いて、健康危機管理能力の精選を行う予定である。そして、その結果を用いて、ICT活用教材の視聴前後の自己評価を調査する計画をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献検討に十分に時間をかけ、検討することができたが、当初の計画とは異なり、ICT教材製作後の評価指標を検討することが必要になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画当初には、健康危機管理に関する活動領域(子ども虐待、防災対策、感染症対策)ごとに、各年に制作を行なう予定であった。しかしながら、評価指標を明確化する必要が生じたこと、ICT制作業者の選定および確定後の打合せ・調整などに想定以上の時間を要すること、という理由から、子ども虐待と防災対策に絞ることに変更する計画である。 子ども虐待に関しては、保健師と保護者との最も早い段階の出会いの場面である母子健康手帳の交付場面に着目することにした。保護者の発言や表現などに敏感に気づくことができるか、また、非常に短時間の場面で相手の本音・真意を引き出すための対応や言葉がけは何か、などを考えてもらえるようなICT活用教材を検討したい。 防災対策に関しては、望ましい選択肢を回答するごとに、より詳細あるいはより多くの防災に必要な情報や人材ネットワークにたどり着けるようなシュミレーションを検討したい。 これらのICT活用教材の制作後、看護系大学および都道府県、市町村の保健師を対象に、協力を依頼し、教材視聴を行ってもらい、その評価を行う計画である。
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