2018 Fiscal Year Annual Research Report
学校が避難所機能と教育を両立するための災害リスク管理に関する研究
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17H04467
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川崎 裕美 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (90280180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梯 正之 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (80177344)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 避難所運営 / 学校教員 / 学校地域連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校再開を目指しながら避難所運営を行うための方策を検討し、実践・訓練のための教員研修プログラムを開発することを目的とする。 2018年度は、地域防災拠点として学校教員が果たすべき新たな役割を明らかにするための調査から、学校教員の実態を明らかにした。教員のなかでも特に被災体験のある教員が、学校再開を念頭に置いた避難所運営のあり方を考えていた。学校教員の避難所運営における負担について、保護者は関心が低く、双方が協力するための方策が必要であると考えられた。またGISによる地理状況と避難準備に関する視覚的教材を作成するための分析を行った。教材作成のための分析過程で、避難所機能・収容人数と周辺人口・人口構成の不一致等の課題が明らかになった。 地震、土砂災害の地域である、広島、熊本の学校教員へのインタビューを引き続き行った。子どもの避難所での安全確保、通学路の安全確保について教員は非常に心配していた。教員自身の安全確保、心身の調整を、東日本大震災の記録を自分のこととして捉え具体的に考えている教員もいた。個人的な状況を教員全体に共有することが重要である。学校教員の災害後の経時的な役割と役割の変化について質的分析を行い、初動から住民が避難所運営に関わる体制がある地域の教員は、避難所運営に主力として関わることなく、児童生徒の安否確認、学校再開の連絡・調整に専念することができていることが明らかになった。 平常時の備えとして、避難者を中心とした体制つくりについて引き続き検討し、論文作成する。また、GISを用いて災害による避難者の動きをシミュレートし、他の条件も組み合わせて細分化した。これらの結果から、教員が避難所となった学校で教育に専念するための研修は、避難所の状況をシミュレートすることも含め、体系的に教材化していく必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年7月豪雨によって、調査対象地域および周辺部が被害に遭った。交通機関の復旧に時間を要したため、調査から明らかになった課題の説明および、研修プログラムの原案に対する教員への意見聴取が遅れた。また、自治体職員の災害対応による繁忙から地理的特性を考慮するための人口データ等の入手が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年に調査から明らかになった課題をまとめ、成果として論文作成する。結果に基づいて作成した研修案に対する教員の意見から、研修案を改善し、実施・評価を行う。GISを使用して作成した資料を防災計画の根拠として使用する方策を検討する。
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Research Products
(3 results)