2019 Fiscal Year Annual Research Report
Applying Simulation Methods and Solution for Negative Chain of Population Increase, Hunger and Terrorism in West Africa
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17H04506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大山 修一 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (00322347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 拓人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40456182)
桐越 仁美 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 研究員 (70793157)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サハラ以南アフリカ / 人口増加 / 内戦・テロ / シミュレーション / 紛争解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
西アフリカ・サハラ砂漠の南縁に位置するサヘル帯では人口が急増しており、1人あたりの農地面積の縮小による食料不足や飢餓、貧困が慢性化し、毎年、雨季になると各地で農耕民と牧畜民(フルベ、トゥアレグ)が放牧地をめぐって紛争を繰り返し、近年では死者も出て激化している。本研究は、現地データのシミュレーションによって人口増加や土地利用、紛争がどのように発生するのか将来予測をおこない、どのような方策によって紛争の発生を緩和することができるのかを検証することを目的としている。 研究代表者の大山は2019年9月にニジェールへ渡航し、食料事情が悪化し、農耕民と牧畜民の武力衝突がもっとも発生しやすい時期の現地状況を観察した。阪本は2019年9月に大山とともに現地調査を実施し、家畜の種類と飼養頭数、家族構成などを聞き取ったうえで、牧畜民の放牧キャンプの位置や日帰り放牧のルートなどについてハンディGPSによる測定をおこなった。その後、取得したデータを整理・分析するとともに、衛星画像を用いた広域的な分析にも着手し、その途中経過を11月の研究会で報告した。また、国際機関の文書分析などさまざまなデータを分析し、研究成果を国内外で発信した。桐越はサヘル帯の農地面積縮小を背景とした人口移動の実態の把握を目的に、ガーナに居住する移民を対象とした調査の結果を分析し、移民の出身地とガーナへの移動目的、移動後の生活・経済状況に関しての詳細な分析を実施した。 大山は日本とスイスの研究者とともにニジェールにおける農村研究の成果を特集として刊行し、そのなかでチャド湖周辺において発生するボコハラムのテロに関する論考を発表し、その被害と発生する原因を考察した。また、FAO(国際連合食糧農業機関)ローマ本部におけるシンポジウムでの発表や著作を積極的に公表するなど、今後の紛争予防につなげるべく、本研究計画のとりまとめを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
西アフリカ・サヘル地域ではテロの発生により、計画どおりに十分な現地調査はできていないが、ニジェール政府関係省庁、自治体、国際協力機関、国連機関との連携がすすみ、国際的な協業・連携の枠組みを構築している。安全に留意しながら現地調査をすすめ、これまでに蓄積した研究代表者の研究データや新規のデータをまとめ、分析・記述することで、研究成果をあげることができている。国内学会、国際シンポジウムでの発表、公開講演会での講演、英文論文集の刊行を通じた成果発信をすすめ、研究ネットワークをひろげ、順調に研究をすすめることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
紛争シミュレーションに必要な人口増加や土地利用の変化については、細密かつ膨大なデータを必要とし、現地調査において多くの作業が必要となる。サヘル帯では、隣国のマリやブルキナファソではテロの発生による治安の悪化がみられる。そのため、外務省、およびJICA現地事務所、京都大学の安全指針にもとづき、現地スタッフの活用による現地調査の継続、あるいは首都近郊に研究サイトを設けている。ニジェール国環境省および、ニアメ市、ドゴンドッチ市の許可を取得し、現地調査を継続する予定である。サヘルの現状を鑑みると、将来予測とそれにもとづく方策の立案・実施により治安状況の悪化を緩和させるという本研究計画はたいへん意義ぶかいと考えているが、治安の悪化には十分に注意し、研究をすすめていくつもりである。
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Research Products
(49 results)