2019 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀のウォーター・フロンティア:ベトナム南部メコンデルタの多民族社会
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17H04515
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
芹澤 知広 天理大学, 国際学部, 教授 (60299162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 知 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (20452287)
下條 尚志 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 助教 (50762267)
伊藤 まり子 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 客員研究員 (70640887)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ベトナム南部 / メコンデルタ / 多民族社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
7月にオランダ・ライデンで行われたアジア研究の国際会議(ICAS11)にて、「ベトナムの周辺部から文化の混淆を考える」というテーマの分科会を組織し、研究分担者2名とともに研究成果の一部を発表した。 8月に研究分担者・研究協力者とともにホーチミン市に集合して、ホーチミン市内の盂蘭盆の行事の調査を行った後、ソクチャン省、バクリウ省、キエンザン省に滞在した。そしてキエンザン省からベトナムを出国し、海沿いにカンボジアを通り、タイへと向かうルートで、ベトナム・カンボジア・タイ沿岸部の交通と、人々の国境をこえた交流を、カンボジア、タイに詳しい研究分担者の協力を得て共同調査した。 カンボジアやタイの都市では、近年の中国本土や台湾とカンボジアとの交流、タイ仏教とベトナム仏教との歴史的な関係について、インタビューや参与観察から明らかになった。とくにベトナムから移住してきている人々に実際に会うことができ、彼らがもともと住んでいたソクチャン省やキエンザン省の重要性が明らかになった。 翌年2月には、再度ソクチャン省とバクリウ省を訪れ、ソクチャン市とバクリウ市、そのあいだにあって「小潮州」としてホーチミン市で知られているヴィンチャウ市などを訪れ、潮州系華人の宗教活動を中心に調査した。ソクチャン省とバクリウ省の歴史ある宗教施設からは多民族社会の成り立ちが想像できるいっぽうで、近年の華人の財力による宗教施設の再建は、地方史や地方文化を見えなくする「汎華人性」ともいうべきかたちを示してもいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過年度に行ったチャビン省での実地調査には多くの困難があり、今年度は実施を見送った。しかし今年度は、8月にカンボジアとタイでの実地調査を行うことから、チャビン省に隣接するソクチャン省の重要性が明らかとなった。2月にはソクチャン省でも調査を行い、確実に新しい情報が蓄積されてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
過年度及び今年度の実地調査を通じてますます明らかになったが、新しい場所(カンボジア・タイ)を訪問することと、同じ場所(ホーチミン市・チャビン省・ソクチャン省他)を再訪することの、両方を行うことで、多くの情報が集まるだけではなく、各地の情報の連関、さらにはその連関自体の重要性が見えてくる。そのため次年度も、研究成果の一部を論文として公表すると同時に、引き続き実地調査を行うことから研究を遂行することを考えている。
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Research Products
(23 results)