2018 Fiscal Year Annual Research Report
A phonological study on the Sinitic loan words in the languages spoken in the northeast Vietnam.
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17H04522
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 雅之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30313159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 政明 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (10314262)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歴史言語学 / 記述言語学 / 野外調査 / 漢字 / 借用語 / 言語接触 / ベトナム東北部 / 広西壮族自治区 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、吉川が2018年12月から2019年1月にかけてベトナム東北部のクアンニン省で、2019年3月にはバクザン省で、それぞれ1地点について野外調査を行った。調査内容は主に基礎語彙の収集であるが、クアンニン省では民謡の録音と歌詞の撮影も行った。調査終了後は速やかに音声データの分析に着手し、音節を構成する各要素についてレパートリーのリストアップを行った。清水は2017年度に収集したタイー族の基礎語彙に含まれる漢語由来の借用音、および同民族の宗教儀礼で用いられる経文に記される漢字の音価について、データベースを作成し、初歩的分析を行った。 本年度の研究成果は次のとおりである。吉川は学会での口頭発表と市民講座での講演を行った。口頭発表は、日本漢字学会第1回研究大会(於京都大学)で中国湖南省のミエン族が宗教儀礼で唱える『盤王大歌』の一段落を取り上げ、その韻律パターンを論じた。市民講座は、東洋文庫アカデミア講座「漢字研究最前線──漢検漢字文化研究所東京講座」(於東洋文庫)で「中華圏の漢字系文字と変形漢字」と題し、チワン語の変形漢字を含む東アジア大陸部の諸文字について講演を行った。その他には、前年度に口頭発表を行った北米漢語言語学会議(NACCL-29)のプロシーディングスが刊行され、ミエン語漢字音についての投稿論文が掲載された。清水は口頭発表を第51回シナ・チベット語学会とベトナム文化ワークショップで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、研究分担者とも各自の調査対象言語について順調に調査および分析、考察を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の野外調査が順調に進展し、収集された言語データに対する分析も予定どおり進んだことを踏まえ、翌年度も研究期間開始時に立てた予定に従い野外調査とデータ分析を進め、適切な場で口頭発表を行う。特に、研究代表者が調査を行っている言語種については、既に3地点の地理的変種を確認し、且つその基礎語彙を収集できているため、変種間の比較を行い、得られた知見について学会で口頭発表を行う。
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