2018 Fiscal Year Annual Research Report
農・食・観光産業クラスター形成のための実証分析とシークエンスの経済の証明
Project/Area Number |
17H04549
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
朽木 昭文 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10450446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丁 可 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 企業・産業研究グループ, 研究員 (10450545)
伊東 正一 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (30222425)
菊地 香 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (30325831)
山下 哲平 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (30432727)
後閑 利隆 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済地理研究グループ, 研究員 (50450549)
溝辺 哲男 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50592622)
李 裕敬 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80736281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 沖縄県観光産業クラスター / バリューチェーン形成分析 / 輸出効果分析 / 投資促進効果 / 投資阻害要因分析 / シークエンス経済の存在分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに確立できた点は以下のとおりである。 厳密な産業政策は、動学的な幼稚産業の保護である。産業集積政策は、狭義の産業政策ではなく、地域開発政策である。藤田によれば、集積が、その地域でイノベーションを可能とするとマイケルポーターの意味で産業クラスターになる。すなわち、第1段階が集積、第2段階がクラスターである。 そこで、第1段階の集積を形成するには、3つの理論が不可欠である。立地論、構築論、地理的経営論である。立地論が空間を考慮するのに対して構築論は時間を考慮する。立地論の先行研究は、Von Thunenに始まり、空間経済学へと発展した。集積のイノベーション活性化の経営を考察するのが「地理的経営」である。経営の現在の最重要課題がイノベーションである。本研究が完成を目指すのが、集積の「構築論」である。 集積の議論において、3論が必要である。ただし、地域開発においては立地が決まり、その経営の目標がイノベーションである時の「構築論」の議論が十分でなかった。本研究はこの構築論を確立することを目指し、試論を打ち出した。 構築論は、動態的な集積の形成過程である。この際に「シークエンスの経済」が、地域開発を成功させるかどうかを決定的にする。1.集積のセグメントの確定、2.その構築の順序付け、3.フローチャートの完成に関する基本設計、詳細設計、ワークフローの完成が必要であることが認識された。 構築論に関して、産業集積を構築する場合に、Segment(組織部門)の構築過程が重要である。構築に際して基本設計をし、構築過程で実施設計が必要となる。したがって、構築過程でのSegment構築の「Sequencing」が重要であり、これを間違えると産業集積を完成できない。この場合を「シークエンスの不経済」と呼ぶ。そして、「シークエンスの経済」を合成し、集積を完成させるプロトタイプな場合をフローチャートと呼んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的に対して、「シークエンスの経済」を証明する計量的な手法を検討することであり、本研究は、計量的な手法としてダミー変数を使用する場合の使用法を示した。また、Granger causality testにおける使用法を検討する。日本の京都市の農・食・観光集積を事例とした。 得られた結論として、集客への「京都駅の整備」は、京都市への観光客誘致の先行条件となる。つまり、空間経済学における輸送費の削減が人の集積の条件となる。集積の発展のある段階では「ブランドの確立」が有効である。近年はインターネットの普及により情報の発信が効果的である。
1.今期において産業集積論として、立地論、地理的経営論に加えて構築論を打ち立てた。構築論は、産業集積の構築論は、基本設計と詳細設計から始まる。詳細設計において産業集積のセグメントの建築フローが必要となる。この構築は、どこに立地するかという立地論と立地して何を目的に運営するかにより異なる。「シークエンスの経済」とフローチャート・アプローチを定義した。 2.産業集積の業種として、製造業、情報通信産業、観光業、農・食・観光産業などを考察した。ベトナム・ダラット、京都市、つくば、中部国際空港などの事例を説明した。 3.Dummy手法とGranger causality test手法を検討した。セグメントの構築フローにおいては、「シークエンスの経済」に関する計量的な検証の研究の深化を必要とする。今期においてGranger causality testとDummy variables による手法を適用した。計量的な手法への結論と京都市の農・食・観光集積に関する結論を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方針は、立地論と構築論の関係、構築論と地理的経営論との関係の明確化と、計量分析に関して、(1)Granger causality test:セグメントの特定化、そのシークエンシング、Lagの特定化、双方向性の検討および(2)Dummy variables :タイムトレンドの変数の作り方、ダミー変数のつけ方の検討がである。これらの手法は試行的な段階であり、今後は様々なヴァリエーションへの対応を考える必要がある。 産業集積の業種として、製造業、情報通信産業、観光業、農・食・観光産業などの集積を構成するセグメント(組織部門)の特定化が研究の課題として残る。特に、「広義の輸送費」が空間経済学で重要な変数である。輸送に係るセグメントが第1の課題である。また、産業構造の高度化とともに「文化」に係るセグメント、ブランディング戦略が不可欠となる。また、ハードだけではなく、ソフトの制度のセグメントが同様に不可欠である。これらのセグメントを特定化した後に、「シークエンスの経済」を考察する必要がある。さらに、都市経済学、経済地理学、建築学などとの関連による構築学の深化を目指す必要がある。
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Research Products
(18 results)
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[Book] 米の外観品質・食味 ―最新研究と改善技術―2018
Author(s)
松江 勇次 (著, 編集), 丹野 久 (著), 平山 裕治 (著), 尾形 武文 (著), 坂井 真 (著), 若松 謙一 (著), 大坪 研一 (著), 中村 澄子 (著), 佐野 智義 (著), 後藤 元 (著), & 28 その他
Total Pages
490
Publisher
養賢堂
ISBN
978-4842505633