2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Educational anthropological studies on transnationalism of Chinese new immigrants' children in EU
Project/Area Number |
17H04570
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山本 須美子 東洋大学, 社会学部, 教授 (50240099)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 一基 東洋大学, 社会学部, 准教授 (00822420)
王 維 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (10322546)
田嶋 淳子 法政大学, 社会学部, 教授 (20255152)
布川 あゆみ 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (80799114)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 中国系新移民次世代 / 浙江省 / トランス・マイグラント / 学校適応・不適応 / ヨーロッパ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1980年代以降に中国からヨーロッパへ流入した中国系新移民(「中国系新移民」とは、1978年の改革開放以降に中国から海外に移住した人々とする)の次世代をめぐる教育の現状や社会統合のあり方、文化的アイデンティティ、トランスナショナリズムについて、ヨーロッパ諸国におけるフィールドワークから得られた実証的データに基づいて検討した。 1990年代以降に中国系人口が急増したイタリアとスペイン、フランスでは、教育程度の低い貧しい浙江省出身者が主流を占め、集住地区では学校不適応問題が顕在化していた。学校不適応には、10歳頃まで中国に送り返す慣行に加えて、親が教育を重視していないことや経済的地位の不安定さなどの要因も関連していた。一方で、移住先で生まれ育つ者の増加に伴って、社会統合に成功する高学歴者も増え、特にフランスの新移民第2世代による外部に開かれたアソシエーション活動にその変化が反映されていた。高学歴者の親が多いドイツや、中国系人口の比較的少ないポルトガルやハンガリーでは、学校不適応の問題は顕在化していなかった。 そして、移住先生まれと学齢期に移動を経験した1.5 世代が混在する次世代にとって、ルーツである「中国」は、新たな就職などのチャンスを求める場合や、移住先への社会統合が上手くいかない場合、人種差別などによって他者化される経験をした場合に重要性が増していた。トランス・マイグラントとしての中国系新移民次世代のアイデンティティ形成は、EU周辺国のハンガリーにおいて顕著であるように、移住先に統合することをゴールとするのではなく、教育を受ける国を選択したり英語教育を重視したりする家族の教育戦略と絡み合い、トランスナショナルな空間での主体的選択のプロセスとして捉えられた。
|
Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|