2018 Fiscal Year Annual Research Report
適応放散の分子機構解明に向けたビクトリア湖沼生物ゲノムの多様性の網羅比較
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17H04606
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
二階堂 雅人 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70432010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 剛 東京農業大学, 農学部, 教授 (00581844)
高橋 鉄美 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70432359)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シクリッド / ビクトリア湖 / 適応放散 / ゲノム多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ビクトリア湖において適応放散を遂げたシクリッド類と放散を遂げていないその他湖沼生物について、ゲノム配列を網羅的に決定・比較することで、適応放散のゲノム基盤を探ることにある。そのために、シクリッドのDNA解析や生態調査に実績のある東京工業大、東京農業大、兵庫県立大、およびタンザニア水産研究所が協力体制を構築し、3年間をかけて上記の湖沼生物群の採集調査およびゲノム情報解析を進め、さらには各生物群における生態形質データの収集をおこなう。H29年度は、シクリッド各種サンプルを約300個体、その他ナマズ類、貝類、エビ類、トゲウナギ類のサンプルを採集し、タンザニア側の取り決めに従って我が国に輸入した。また兵庫県立大から1名がタンガニィカ湖の調査も実施し、同様にシクリッド類、エビ類のサンプルを採集することに成功し、これらも法律に乗っ取り我が国に輸入した。続いてH30年度には、東工大から1名、東京農業大学から1名がビクトリア調査を実施し、十分量のサンプルを収集した。ビクトリア湖調査に関しては、現地スタッフや地元漁師の協力を得ることもでき、これは日本―タンザニア両国間の共同研究体制が円滑に構築できたためだと考えられる。現在は収集した大量の魚類のデータベース構築とDNAサンプルの整理をおこなっているところである。シクリッド全ゲノム解析に関しては、種間において遺伝的分化をしている領域が数多く発見されるに至っている。またレトロポゾン解析においても、過去の祖先集団における多型に由来する遺伝子座が多く単離されるなど、シクリッド適応放散のメカニズム解明に関わる論文化に向けて多くのデータが集まりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
もっとも重要な進展として東工大とタンザニア水産研究所間での共同研究契約書の締結が行われたことで、これに併せて現地の野外調査に必要な調査許可証がCOSTECから発行された。今後は問題なく野外調査を進めていくことができることになった。また、ビクトリア湖の調査に関しても、タンザニア水産研究所スタッフとの円滑な連携体制を作ることができた。初年度の研究体制構築に多くの時間を費やしたため短期間の野外調査ではあったが、その中で予想以上に多くの種や個体数について採集をおこなうことができたことからも、本研究は順調であると考えている。その研究体制構築が終わったH30年度においては、農大チームを含めこれまでに採集することのできていない種も含めてより多くのシクリッド種を網羅するように、調査地のターゲットを絞った野外調査を実施することができた。このことより、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
野外調査や採集個体の日本への輸入に関しては、タンザニア水産研究所との連携も順調に進み、手続きの多くが問題なく進められたため、解析個体を入手することに成功した。最終年度については現在進められているゲノム解析に基づくシクリッド適応放散のゲノム基盤を論文として発表することを目標とする。
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[Journal Article] Patterns of genomic differentiation between two Lake Victoria cichlid species, Haplochromis pyrrhocephalus and H. sp. ‘macula’.2019
Author(s)
Takuno S, Miyagi R, Onami J, Takahashi-Kariyazono S, Sato A, Tichy H, Nikaido M, Aibara M, Mizoiri S, Mrosso DJH, Mzighani S, Okada N, Terai Y.
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Journal Title
BMC Evolutionary Biology
Volume: 19
Pages: 68
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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