2018 Fiscal Year Annual Research Report
Air Irrigation:乾燥地の大気由来の未利用水資源で実現する節水農業
Project/Area Number |
17H04634
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森 牧人 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (60325496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 雅治 九州大学, 農学研究院, 教授 (30153109)
木村 玲二 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (80315457)
丸居 篤 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (80412451)
長 裕幸 佐賀大学, 農学部, 教授 (90136599)
安武 大輔 九州大学, 農学研究院, 准教授 (90516113)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 葉面結露 / Air irrigation |
Outline of Annual Research Achievements |
乾燥地は世界の総陸地面積の約41%をも占め,20億人以上が水利用に関する問題群に晒されている.加えて,近い将来に起こり得る水不足の危機的状況も警鐘されており,今後のさらなる水利用の高度化・最適化の推進は人類共通の喫緊課題である.とくに,水資源の最大の使用量(約3分の2)を占める農業分野では,革新的な水利用効率の向上や未利用水資源の活用による節水の実現が切望される. これらを背景に、研究対象地域においては、夜間大気由来の水蒸気凝結による葉の濡れ(葉面結露)を観察され,濡れが続く日中にかけて葉が萎れず(気孔が閉じず)に光合成も活発であること、また、作物生産の基幹プロセスである光合成を維持して水利用効率を向上させる潜在的優位性を持つ可能性が本課題参加研究者の既往知見として示唆された. 研究2年目になる当該年度では,前年度の結果に基づき、Air Irrigation効果による灌水量削減の可能性を圃場スケールで検討した.現地渡航については年度内に2回果たし(2018年6月と9月)、トウモロコシの植栽された実験圃場で本格的に観測体制を整えるとともに、渡航時に集中観測を実施した。圃場に設置されている自動気象ステーションでは、気温・相対湿度・風向・風速・日射量・正味放射量・降水量・下向き赤外放射量を常時観測されており、それらのデータを取得・解析した。一方、集中観測としては葉濡れセンサー・二酸化炭素濃度センサー・水ポテンシャルセンサーを用いることにより、植物生体量の日変化を重点観測・解析した。その結果を得て、葉面結露がトウモロコシのガス交換に及ぼす影響について明らかにした。さらに、群落レベルにおける葉面結露の発生・消長過程および群落上・群落内葉近傍の空気の水蒸気動態を明らかにするための微気象モデルのプロトタイプを完成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地で観測を実施するに当たり、データ取得環境の面で困難も多く(気象観測・リモートセンシングデータの扱い)、研究の進捗に影響を及ぼす可能性があり、その点に注意を払いながら研究を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、データ積み重ねのために現地渡航・実験を繰り返して実施するとともに,必要(研究の進捗)に応じて追試験を行い,研究全体の目標達成に向けて対処する.また,Air Irrigation の効果を,リモートセンシング技術(GPS・LANDSAT)を用いて,より広域レベルまでスケールアップして提示する.ただし,日本国外を研究対象としており制約もあり得るため,様々な状況に応じて対象域(甘粛省)を変更することも念頭に入れる.
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Research Products
(2 results)