2017 Fiscal Year Annual Research Report
Estimating effectiveness and its mechanism of case isolation
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17H04701
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西浦 博 北海道大学, 医学研究院, 教授 (70432987)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 感染症情報 / 疫学 / 数理モデル / 危機管理 / 保健情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
隔離を含む非医学的(非薬物的)対策は病原体に非特異的なため、未だワクチンや治療法が開発されていない感染症など、幅広い対象に実施可能である。しかし、隔離による2次感染予防効果は具体的な数値として明らかにされておらず、例えば2014-16年に西アフリカで流行したエボラ出血熱に対して隔離が2次感染をどれだけ防ぎ得たかは未だ疫学的・統計学的に分析されていない。本研究の目的は、感染者の感染後経過時刻の関数として隔離実施を加味した2次感染発生の数理モデルを構築し、疫学情報およびゲノム情報の両方を含む観察データを分析することにより、隔離の効果を明示的に推定することである。倫理的理由から、隔離をランダムに割り付けするができないため、流行の観察研究成果を利用して後ろ向きに疫学データを分析し、そのデータに統計モデルを適用することで推定することを念頭に定式化等に取り組んできた。伝播ネットワークの再構築と分析に必要な積分方程式モデルで明らかにできることを体系的に整理し、モデル構造とモデル化に必要な想定を明らかにしつつ、基礎的方法論を確立すべく初年度の研究に取り組んだ。初年度の課題は (1)誰が誰に感染させたのかが明らかなデータに基づく数理的定式化、(2)MERSやエボラ出血熱の伝播ネットワーク情報の収集と分析、とした。2次感染が発病後時刻tに対してh(t)で発生する感染症に対して発病後時刻kで隔離が実施され、2次感染頻度が定数倍低下したものと想定し、隔離効果を規定するパラメータを2次感染時刻の短縮化と2次感染者数減少の情報を利用することを通じて推定する手法を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間計画は申請書での宣言通りに進んでおり、初年度で最低限の完了予定としていた分析やデータ収集が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)接触毎の感染確率モデル定式化、(2)欠損情報を含むMERSとエボラ出血熱の隔離効果推定、(3)隔離内容の分解と研究デザイン整備、に取り組む。(1)接触毎の感染確率の推定では、流行と別に履歴調査を実施し、様々な接触行動iの頻度情報Ciを収集する。それに基づき接触行動iの1回毎の感染回避確率(1-pi)^{Ci}を季節性流行から推定する。(2)病原体ゲノム情報を利用した伝播ネットワーク再構築では、疫学情報に加えて病原体ゲノム情報が各感染者から分離された際に誰が誰に感染させたのかを再構築するモデルを実装する。積分方程式を用いるが、接触者追跡情報がなくても推定可能なモデルでなければ実用化することが難しいので、対応するモデルの導出と信頼性評価に注力する。
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Research Products
(12 results)