2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of risk evaluation system of cerebral aneurysms based on the computational fluid dynamics
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17H04745
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新妻 邦泰 東北大学, 大学病院, 講師 (10643330)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 数値流体力学解析 / 血流解析 / 磁気共鳴血管撮影 / 脳動脈瘤 / 脳血管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、数値流体力学的解析手法、すなわち、computational fluid dynamics(以下、CFD)を用い、脳動脈瘤を中心とする脳血管障害について血流解析を行うことで、診断・治療の理論的根拠を確立すること、さらに、その過程で、血行力学的因子を含む症例レポジトリを構築することである。 今年度の研究において、脳動脈瘤に対する脳血管内治療の支援ツールとしてのCFD血流解析の有用性が証明されつつある。現在までに、未破裂脳動脈瘤に対してコイル塞栓術が行われた症例、および、フローダイバージョン治療が行われた症例の主に2つについて、多施設からの提供症例に対するCFD血流解析を行い、臨床情報とともにデータを蓄積してきた。前者について特記すべきは、内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤の40症例について血流解析を行った結果、血行動態に加えて幾何学的形状の重要性が再確認された点である。すなわち、脳動脈瘤頚部平面と動脈瘤の最大突出部とのなす角が大きい動脈瘤は、内部の血行動態に関わらず、コイル塞栓術に抵抗性であった。本研究結果は、脳動脈瘤の突出方向がコイル塞栓術の難易度に関与するとの先行報告を支持するとともに、脳動脈瘤の突出方向がコイル充填の難易度を決定する可能性、さらに、治療手技(コイル充填)の稚拙が血行動態因子よりも重要である可能性の2つを明確にした点で重要である。後者のフローダイバージョン治療については、全70症例を蓄積し、CFD血流解析の結果、O'Kelly-Marotta grading scaleにおいて、grade Cと判定される症例においては、フローダイバージョン治療後における脳動脈瘤頚部平面での高流速部位にremnantが生じることを発見した。今後、さらに多くの症例を蓄積することで、治療デバイスの種類、サイズの選択に有用な知見が得られる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの解析は十分に進んでいることから予定通りに進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に多施設のデータ解析を行ったが、データ登録システム開発は十分でなく、引き続き効率よくデータを収集するシステムの開発を継続する。800例程度を最終的に蓄積することを目標とし、施設間の相違なども含め、動脈瘤破裂や治療後再発リスク評価などにつき検討する。MRAからの形状抽出・CFD解析手法の開発も引き続き継続し、より汎用されているデータからCFD 解析を行い、CFDの一般化を目指す。CFD自動解析やデータ登録システムなどが完成した場合には、それらをパッケージとして、全国展開や、事業化などを検討する。
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