2019 Fiscal Year Annual Research Report
Social dynamics and interregional exchange in the Formative Andes
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17H04778
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山本 睦 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (50648657)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 文明形成 / 神殿 / 地域間交流 / 比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2000年度には、8~9月にかけてエクアドル南部の山岳地帯に位置するセロ・ナリオ遺跡、ロマ・デ・ピンシュル遺跡、エル・ボスケ遺跡において、発掘調査を実施した。その結果は、主として以下の通りである。 当該地域における形成期の標式遺跡であるセロ・ナリオ遺跡では、最下層にいたる多様な期間およびコンテクストのデータを獲得することができた。また、ロマ・デ・ピンシュル遺跡では、セロ・ナリオ遺跡と並行する時期の活動を明確にし、エル・ボスケ遺跡では、その年代的位置づけを明らかにすることができた。さらに、それぞれの遺跡において、土器をはじめとした出土遺物の分析、および出土炭化物の放射性炭素年代測定をおこなうことで、各遺跡における建造物の建設過程と活動時期を解明した。これは、編年が十分に確立されていない当該地域において、きわめて重要な成果であるといえる。 上記のデータは、2018年度に発掘調査を実施したペルー最北部のインガタンボ遺跡のデータとの比較資料となるもので、研究成果を総合し、地域間交流を論じるための礎となるものである。日本国内では、GISを用いてデータの整理をすすめ、とくに調査用のベースマップを作成し、2020年度におこなう予定の遺跡分布および遺跡内の空間構造の分析・解析の基礎を築いた。 2019年度の成果については、すでに国内外のシンポジウムなどで発表してきたが、今後も分析や考察をすすめつつ、様々な場で発表、出版していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度には、当初の計画通り、エクアドル南部の諸遺跡で発掘調査を実施し、期待以上の成果をあげることができた。 また、2020年度に実施予定の出土資料の整理・分析については、すでに現地研究者との調整はすんでおり、順調に実施することができると考えている。 そして、これまでの調査成果については、他の研究者との意見交換を行いながら、国内外の出版物、シンポジウムや学会などで、随時発表をおこなってきている。 以上のことから、本研究は、おおむね順調に推移してきていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、前年度までに獲得した考古資料の整理・分析および分析結果の総括をおこなう。 調査と関係する自治体や考古学者、および出土遺物の分析を依頼する専門家との調整はすでにおこなっている。日本での分析が必要な資料の国外持ち出し手続きは、9月までに実施する予定である。 日本国内では、GISを用いたデータの分析・解析作業をすすめ、発掘データとの統合をはかる。 本研究でえられた成果は、国内外の学会やシンポジウム、出版物において随時発表し、様々な研究者との意見交換やこれまでに渉猟した関連文献との比較検討を通じて、精緻化していく。
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