2017 Fiscal Year Annual Research Report
金属担持共有結合性有機構造体から成る光駆動型選択酸化触媒の開発
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17H04798
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神谷 和秀 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 准教授 (50716016)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共有結合性有機構造体 / 部分酸化 / 電気化学 / 光電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然ガスなどの安価な資源を基礎化学品の原料として用いるために、低級アルカンに代表される炭化水素の選択酸化を高効率に進行させる系の構築が強く望まれている。本研究では申請者らが開発してきた金属担持共有結合性トリアジン構造体(CTF)を触媒に用い、これをn型半導体とハイブリッドすることで光駆動の炭化水素部分酸化系を構築することを目指す。本年度はルテニウムを担持したCTF(Ru-CTF)を電極触媒として用いることで、競合する水の酸化反応をほぼ完全に抑制したうえで、各種アルコールを高選択的にカルボン酸にまで電気化学酸化できることを見出した。Ru-CTF内のRu原子はEXAFSおよびTEMなどのキャラクタリゼーションから単核状態でCTFの細孔中に保持されていることが明らかになっている。一方で酸素発生の律速過程であるO-O結合を形成するプロセスを高速で進行させるためには、隣接したRu原子が少なくとも2つ必要であることが知られている。つまり、Ruを完全に単核状態で分散担持したことで、競合する酸素発生が抑制されたと考えられる。さらに重要なこととして、従来の錯体材料と比較して触媒自身の酸化分解も大幅に抑制されていることが明らかになった。これはCTFが強固な共有結合のみで密な架橋構造を形成していることに由来する。つまり、Ru-CTFは水の酸化による酸素発生と触媒自体の酸化分解という、水溶液中での炭化水素の電気化学酸化反応と競合する2つの反応を大幅に抑制できることで、高効率に炭化水素を酸化できる触媒材料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭化水素酸化と競合する水の酸化による酸素発生と触媒自体の分解を抑制できる触媒を合成できたことは重要であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
より強固なアルカンなどの炭化水素酸化の実現に向けて、Ru以外の金属種の選定を行う。具体的にはIrなどを検討している。また、ガス状アルカンなどを基質として用いるためにガス拡散電極を用いた反応を検討していく。
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Research Products
(10 results)