2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H04826
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
岩本 真裕子 島根大学, 総合理工学研究科, 講師 (80738641)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パターン形成 / 運動メカニズム / 腹足類 / 頭足類 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は様々な運動形態にも基本となる制御論理が潜んでいるという視点に立って、単純な運動形態のひとつである這行運動に着目している。腹足類の這行運動で見られる足波のように、軟体動物は筋肉が発達しており、軟体部の一部分を瞬時に緊張・弛緩させることができる。この足波によって腹足類は移動を実現しているが、これまでの観察研究では、ガラス板など通常環境でないところでしか観察されなかった。つまり、これまで観察してきた腹足類の這行パターンが非現実的な状況で見られるもだけである可能性がある。そこで、本研究では、新たに凹凸面などで腹足類の這行パターンを観察するとともに、筋収縮によってパターンを形成する頭足類にも着目し、筋収縮パターンの制御方法を探ることで、腹足類の這行運動における運動制御メカニズムを系統的に理解し、工学応用の基盤を確立することを目的としている。研究方法としては、(基礎課題)腹足類と頭足類を用いた筋収縮パターン観察実験、(課題 I)バネ質点系数理モデルの構築、(課題 II)2次元画像情報から1次元処理ロジックの解明の3段階を想定している。 本年度は、基礎課題である、高速度カメラを用いた腹足類の這行観察(ガラス面)、および頭足類の体表変化の観察を中心に行った。双方に見られるパターン形成について、中枢からの信号および中距離相互作用が関係しているが、信号入力が行われていると考えられるパターン形成の初期段階について今後より詳細に観察を行う予定である。また、凹凸面での陸生腹足類の這行運動の観察も行い、筋収縮パターンと他の運動様式の混在が見られた。また、頭足類のパターン形成について、 1 次元バネ質点系で自己駆動バネを用いてプロトタイプとなるモデルを構築した。今後、このモデルを改良し、動的なパターンの制御方法について数値解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた観察実験については、予定していたものは行っているがデータ数が少ない状況であり、翌年度以降も継続的に行う必要がある。一方で、翌年度予定した数理モデルの構築はすでに着手しており、一定の成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、課題1の数理モデルの構築を中心に行うが、高速度カメラを用いた腹足類および頭足類の観察実験を引き続き行いデータ数を増やす。また、腹足類の凹凸面での観察結果から、当初予定していたモデルだけでなく、muscular hydrostatのモデルを構築することで、腹足類のさらに多くの運動様式を理解できる可能性が示唆されたため、新たな数理モデルの構築も視野に入れる予定である。
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Research Products
(2 results)