2018 Fiscal Year Annual Research Report
角度分解光電子分光による原子層FeSeの高温超伝導の研究
Project/Area Number |
17H04847
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 耕輔 東北大学, 理学研究科, 助教 (40583547)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / 光電子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続いて薄膜作製装置の改良を行なった。特に、赤外レーザーを用いた基板加熱機構に集光レンズを導入することで、効率的かつ高温領域までの基板加熱を可能にした。これにより、各種ガス雰囲気中および真空中で広い温度範囲に亘る基板温度の高精度な制御を実現でき、基板の清浄化および組成・物性の制御を目指した研究の遂行が可能になった。 改良した薄膜作製装置を用いてFeSe原子層薄膜をSrTiO3基板上に作製し、その表面にアルカリ金属やアルカリ土類金属を蒸着してキャリア量を制御した、また、その際のバンド構造や超伝導ギャップ対称性を測定して電子相図を決定した。これまで未解明であった高温領域までのバンド構造を系統的に測定することで、原子層薄膜とバルク試料の相違点を見出した。 また、構成元素を他の元素で置換した原子層薄膜のARPES測定を行い、超伝導転移温度やバンド構造の変化を見出した。低温におけるバンド構造の精密な解析を行うことで、低エネルギーあるいは運動量の小さいボソンと電子が結合している可能性を見出した。以上の結果から、クーパー対の形成を媒介する相互作用について知見を得ることができた。 鉄系超伝導体とトポロジカル絶縁体のヘテロ構造についてもARPES測定を行い、ヘテロ構造の形成に起因する電子状態の変化を観察し、界面超伝導の起源について知見を得た。また、新規トポロジカル超伝導体候補バルク物質の電子状態を決定し、ディラック電子の存在とトポロジカル超伝導発現の可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた薄膜作製装置の改良を行い、目標としていた基板温度の高精度な制御を実現することができた。また、キャリア量制御や元素置換を通じた高温超伝導探索と超伝導メカニズムの研究、及びヘテロ構造などを利用したトポロジカル超伝導探索にも進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
薄膜作製装置の改良を進め、高品質なFeSe原子層薄膜、および新規原子層鉄系超伝導体やヘテロ構造を作製し、高温超伝導や新奇超伝導相の実現を目指す。また、角度分解光電子分光測定を用いた電子状態解析によって超伝導機構の解明に取り組む。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Ultrathin Bismuth Film on High-Temperature Cuprate Superconductor Bi2Sr2CaCu2O8+δ as a Candidate of a Topological Superconductor2018
Author(s)
Natsumi Shimamura, Katsuaki Sugawara, Sukrit Sucharitakul, Seigo Souma, Katsuya Iwaya, Kosuke Nakayama, Chi Xuan Trang, Kunihiko Yamauchi, Tamio Oguchi, Kazutaka Kudo, Takashi Noji, Yoji Koike, Takashi Takahashi, Tetsuo Hanaguri, and Takafumi Sato
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Journal Title
ACS Nano
Volume: 12
Pages: 10977-10983
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Observation of a Dirac nodal line in AlB22018
Author(s)
Daichi Takane, Seigo Souma, Kosuke Nakayama, Takechika Nakamura, Hikaru Oinuma, Kentaro Hori, Kouji Horiba, Hiroshi Kumigashira, Noriaki Kimura, Takashi Takahashi, and Takafumi Sato
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 98
Pages: 041105(R)
DOI
Peer Reviewed
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