2019 Fiscal Year Annual Research Report
堆積環境-生物撹拌-生痕相の関係性の解明:北西太平洋全域調査からのアプローチ
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17H04859
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
清家 弘治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (20645163)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生痕化石 / 生物攪拌 / 底生生物 / 沿岸 / 深海 / 砂浜 / 巣穴 / 濾過 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は以下の項目を実施した. 1.生痕観察用のコア試料の収集.①:本研究では申請者自身により採取したコア試料を解析することに加えて,研究協力者からコア試料の提供を受けサンプルの充実を目指している.2019年度は,学術研究船・白鳳丸のKH-19-6航海に乗船参加し,東太平洋~南極海~アフリカ沖にかけての約20地点で海底表層堆積物コアを採取し,生痕観察用の堆積物試料の充実を目指した.本航海による堆積物コアの収集により,東部太平洋の熱帯~寒帯の深海平原にかけての堆積環境を広い空間スケールで網羅するコアサンプルを確保することができた.さらには,南極海における沿岸~深海平原の試料も確保した.これにより,極域における広い空間スケールおよび水深帯で現世の生痕相を解析する準備が整った.また,九十九里平野など,沿岸平野で採取されたボーリングコア試料も共同研究者から提供してもらい,完新世の生痕相を解析するための試料が確保できた.
2.コア試料の分析および生痕情報の解析.上述の堆積物コアをX線CTスキャン撮影し,コア内部の堆積構造(生痕および物理的堆積構造)を詳細に観察した.得られたCT画像を三次元画像解析ソフトウェアAmiraを用いて生痕部分を手作業でトレースし,コア中の生痕の3次元的なデジタル形態データを構築した.また,茨城県鹿島灘における巣穴形成生物(ナルトアナジャコ)と水柱の基礎生産者量との相関関係を調べ,生痕形成者が沿岸域の物質循環に与える影響を解明し,その成果を論文として出版した(Seike et al., 2020 Geophysical Research Letters).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コアの解析が順調に進んでおり,また,これまでに得られた成果を論文として公表できているため
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらなるコアサンプルの充実を目指すとともに,これまで得られているコアの画像解析や年代測定を進める.それにより,より多くの堆積環境における生痕相および生物攪拌の特性を理解することを目指す.
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