2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Relationship between the Proportional Concept of Anthropomorph and Archictecure in the Western Civilization
Project/Area Number |
17H04947
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安岡 義文 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特別研究員 (20786496)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | デザイン理論 / 建築と人体の関係性 / プロポ―ション / 建築美学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマの第2年度では、5月~7月にかけて、ベルギーのカトリック・レーヴェン大学の古代史研究所にて、Mark Depauw教授の元で、海外研究滞在を行った。海外滞在中は、国内ではアクセスできない文献資料、また、欧州近隣国を含めた博物館における史料の実測調査によるデータの収集に努めた。また、エジプト、ギリシア、イタリアでの史料調査を行い、未完成作品や習作などのデザイン技法が復元できる史料の収集に努めた。 古代エジプトの模型資料を収集して分析した結果、200点を超す遺物は、人体、動物、柱に分類されうることがわかった。これらは、すべて神殿建造の際に作られる建築彫刻に属し、その中でも制作頻度の高い種類の物であることがわかった。また、これらに分類された建築彫刻の史料には、人体であれば彫像全体に加えて、手、足、胴体、胸像などの部分に分けて作られていることがわかり、エジプト様式に特有な巨大な一枚岩による彫像制作において、数多くの彫刻師が彫る部位を分担して一つの作品を完成させる様子が窺えた。動物においても、最も象徴的である頭部の部分模型が独立して制作されており、柱においても柱身だけ、あるいは柱頭だけの模型が存在する。おそらく、顔や柱頭などの装飾部位の中でももっとも表象的な部位に関しては、綿密なデザイン計画が施され、また熟練職人がこの部位の制作を担当したと考えられる。この点について、今後古文書史料をあたり、論証を深めていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の発表を通して、研究遂行に役立つネットワークや当該研究課題の未刊行史料に関する情報などの研究基盤がさらに充実してきた。資料調査を通して、一次史料のデータも獲得し、分析と論文執筆のフェーズにスムーズに移行できている。また、これまで発表してきた論文に対しても、複数の学術賞を受賞するなど、高い対外評価も得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きエジプト、ギリシア、イタリアにおける史料調査を行い、地中海文明圏における各国文化の特質を見極めていく。特に今後は、紀元前7世紀から1世紀ごろの史料の分析に焦点を当て、地中海文明の覇権が南から北へ移っていくこの時期に、美術・工芸政策の分野において何が起きているのかを見極めたい。
|
Research Products
(6 results)