2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Relationship between the Proportional Concept of Anthropomorph and Archictecure in the Western Civilization
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17H04947
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安岡 義文 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (20786496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘレニズム文化の起源 / モデュールの技法 / デザイン理論 / 建築と人体の関係性 / プロポーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、ブリュッセルの王立美術・歴史博物館、パリのルーヴル美術館、テッサロニキ国立考古学博物館、アテネ国立考古学博物館などに赴き、未刊行資料の写真測量を行った。また、エジプトのアコリス遺跡付近の古代採石場の未完成巨石を発掘調査・記録を行った。これによって、独自のデータが採取でき、その成果の一部をエジプト・カイロの国際学会や国内の複数の学会にて口頭で発表した。また、査読付論文誌への論文も採用決定している。 データを分析した結果、エジプトにおける第三中間期に起きた人体描画法の変革は、人体尺に根差した新たなプロポーション理論の変革であったことが解明された。さらに、このエジプトでの変革は、地中海文明における人体尺を基準としたプロポーション理論が発明されたとされるギリシア・クラシック期よりも一世紀半ほど遡り、この知見はアルカイック期のギリシア人たちは、ク―ロス像に代表される彫像の様式や加工技術のみならず、その設計理論も含めて、エジプトから知識と技術を学び取っていたことが示唆される点で重要である。従来の研究では、ギリシア・クラシック期に人体プロポーションの理論が構築されたのは、ブロンズ像の制作技術の発展などと関連があると考えられてきたが、本研究課題はこれに対し再考を促し、元々地中海世界に存在していた理論がクラシック期により注目を浴びて洗練されていく過程が表出しているに過ぎないと視点を提供することができるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
博物館調査や遺跡調査を通じて未刊行資料のデータも順調に収集できており、分析も着々と進んでいる。成果の一部は、すでに講演や査読付論文や国際学会などで発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、最終年度を迎えるため、最終成果を纏め上げることに重点を置く。今年度、明らかにされたエジプトの人体尺の理論の開発がギリシアのそれよりも一世紀半早いという事実は、これまでギリシア・ローマを賛美する地中海美術の在り方に再考を促す者であり、今後エジプトで開発された理論がどのような経路・過程を経てギリシアへ・ローマへと受け継がれていったのかについて、研究を進めていきたい。
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Research Products
(8 results)