2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Relationship between the Proportional Concept of Anthropomorph and Archictecure in the Western Civilization
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17H04947
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安岡 義文 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (20786496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人体比例理論 / モデュールの技法 / デザイン理論 / 建築と人体の関係性 / ヘレニズム文化の起源 / エジプト / ギリシア・アルカイック期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終年度にあたり、またコロナ禍という状況も考慮して、博物館等での研究史料の補足調査を断念し、研究成果の発表に重点を置いて研究活動を行った。その結果、国内外の複数の査読論文にて成果を発表し、また将来の研究のための新たな課題も明確になった。 概して、人体比例理論は、古代においてローマ人建築家ウィトルーウィウスの「建築十書」が、ギリシア語で書かれている比例理論を参照してラテン語で纏め上げたものをローマ帝国に普及させた経緯があり、これがルネサンス期にイタリアから北方ヨーロッパまで伝播し、近代にいたるまで、西洋文明の美術理論における伝統とされてきた。これは少なからず、近代の考古学や西洋古典学の興隆と今日根強くあるヨーロッパ中心主義的価値観と結びついている。本研究では、これまで紀元前5世紀のクラシック期のギリシア文明に起源があるとされてきた人体比例理論(アントロポメトリー)の根幹をなす部分が紀元前7世紀中ごろのエジプト美術にて存在していた史実を明らかにした。両美術文化間の因果関係は、未だ不明な点が多いが、エジプトに人体比例理論がギリシアよりも2世紀近くも前に存在していたという事実は、オリエント文明がヨーロッパ文明に与えた影響を客観的に評価するための重要な布石となった。 今後は、ギリシア・アルカイック期のクーロイ像、コーライ像とエジプトの彫像とのより詳細な比較分析を通じて、両文明の関係性を解明し、今日も根強く残る「クラシック期」や「アルカイック期」などの呼称にみられる時代に優劣をつけるような近代的価値観から脱却し、史実に即した真実により近い歴史観の構築を行っていくことが重要である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)