2017 Fiscal Year Annual Research Report
固体触媒を用いたフルアルデヒドへの増炭反応を基軸とするバイオリファイナリーの構築
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17H04966
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
西村 俊 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (20610067)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 固体酸触媒 / フルアルデヒド / ヒドロキシメチル化 / アミノ化反応 / 環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
Furfuralのフラン環5位への選択的な増炭反応を実現するために、低温で高効率にアルデヒド試剤を活性化できる固体酸触媒の開発が重要である。本年度は、簡便なアルデヒドであるホルムアルデヒドに着目し、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、1,3,5-トリオキサン等をホルムアルデヒド供給源としたfurfuralからのHMF合成について検討した。その結果、酸性樹脂触媒とホルマリン試剤を用いた場合に高い収率でHMFを与えることを発見した。より具体的には、市販のAmberlyst-15触媒を用いた場合に、HMF収率40%、選択率57%を実現した。これは歴代最高収率(およそ10%)を大幅に更新する値である。さらに、本プロセスは、触媒の再利用が可能であり、回分式反応装置で3回以上の再使用性と活性安定性を確認した。また液体流通系システムへの適用可能性を検討した結果、選択率の改善は認められなかったものの、収率およそ25.5%、選択率およそ48%の性能を24h安定的に発現できることが明らかとなり、液体流通系システムへの適用も期待できるプロセスであることが分かった。 一方、金属担持触媒による展開力向上の観点から、furfuralのアミノ化反応を高活性化できる触媒システムの検討を行った。Ruクラスター触媒システムについて、保護配位子剤の種類と反応溶媒の種類が非常に重要であることが明らかとなった。さらに、フルアルデヒド由来ジオンの環化反応における高活性触媒の開発に関して、酸化アルミニウム触媒を用いた新しいプロセスを検証した。酸化アルミニウム触媒を異なる条件により前処理することで、その触媒性能が大きく変化する現象を発見した。 その他、要素技術の応用・展開を指向し、光照射下での還元触媒能の制御および固体酸触媒を用いたマイケル付加反応、固体塩基触媒を用いたカルボン酸の環化反応等の関連する検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画通り、 Furfuralのフラン環5位への選択的な増炭反応、アミノ化反応、ジオンの環化反応について、それぞれ新しい触媒挙動ないしはプロセス条件の変化に伴う特異な現象を発見するに至った。今後は、そのメカニズム等の詳細を明らかにしてゆきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本申請研究の目的実現のために必要な、各ターゲット反応に対して、新しい触媒挙動ないしはプロセス条件に由来する特異な現象の発見に至った。しかし、そのメカニズムの詳細は不明瞭なままである。 そこで、本年度は、Furfuralのフラン環5位への選択的な増炭反応系に対しては、種々の固体酸触媒(主にゼオライト等の酸化物触媒)のキャラクタリゼーションと反応活性の関連に関して、詳細な検討を行う。固体触媒の酸点周辺の溶媒との親和性、反応試剤との親和性、酸強度などの重要と思われる触媒特性と反応活性との関連を比較・検討し、触媒設計指針を得る。 また、金属担持触媒系を用いた関連反応プロセスの技術開発として「furfuralの還元的アミノ化反応触媒の合金化による高活性化」、酸塩基触媒系を用いた関連反応プロセスの技術開発として「アルドール反応における高活性触媒の開発及びその発現メカニズムの解明」を進め、バイオマス資源からの高品位な化成品合成へと繋がる触媒技術の拡充を図る。
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Research Products
(20 results)