2019 Fiscal Year Annual Research Report
固体触媒を用いたフルアルデヒドへの増炭反応を基軸とするバイオリファイナリーの構築
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17H04966
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
西村 俊 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (20610067)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フルフラール / 固体触媒 / アシル化反応 / コハク酸 / 水素化反応 / HMF / 酸化反応 / アミノ化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能なバイオマス資源の利用促進を図る中で、食料と競合しない非可食性バイオマスを高付加価値化合物へ変換できる技術開発が望まれている。本研究では、特にフルフラール(2-フルアルデヒド)を基盤としたバイオマスの資源化をターゲットに、触媒変換技術を駆使して効率的に高品位な化合物材料へアップグレーディングする方策の確立を目的としている。 本年度は、ホルムアルデヒド以外の試剤を用いた反応によるアップグレーデイングプロセスの開拓と水素や酸素を用いた展開力向上プロセスを検討した。 フルフラールの増炭反応では、新たに固体酸触媒を用いたフルフラールとコハク酸のアシル化反応に着目し、温和な条件下での触媒および反応条件スクリーニングを実施した。しかし、反応進行度が著しく鈍く、生成物を得られなかった。先行文献調査の結果から、置換基による活性化を施したベンゼンに対して類似のアシル化反応を進行させる場合、大過剰な基質/無水酸試剤比および高温条件下においてもごく少量の生成物しか得られていない現状が明らかとなりつつある。従って、C5のバイオマス資源に対して、安価により温和な条件下でアップグレードする手法としてのアシル化反応に関しては、現在の検討範囲では困難であると結論付けた。 水素や酸素を用いた展開力向上の検討では、ホルムアルデヒドを用いたフルフラールの増炭生成物であるHMFの酸化反応やアミノ化反応に対して、良好な触媒プロセスの開発に成功し、論文発表に向けてデータの精査を行っている。また、C5糖由来のコハク酸の水素化反応においても、高収率でジオールまで水素化できる触媒システムの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年までの2年間、ホルムアルデヒド試剤を用いたフルフラールの増炭反応における固体酸触媒プロセスの開発に成功し、その触媒特性と反応挙動の追跡から今後の触媒設計に向けた指標の一端を解明した。一方、今年度は新たな増炭試剤として、バイオマス由来のコハク酸を用いたアシル化に挑戦したが、高効率・高活性を発現できる触媒プロセスの開発には至らなかった。一方、関連する水素や酸素を用いた展開力向上プロセスの開拓に関しては、優れた触媒プロセスの開発を達成しつつあり、次年度への展開につながる成果が生まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
ホルムアルデヒド以外の試剤を用いた増炭反応系の可能性を検討するとともに、関連する反応に関する展開力向上の成果を生かしたプロセス連携を実証する。
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Research Products
(9 results)