2018 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部グルコース感受性神経における新たな調節因子と抗糖尿病薬の探索
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17H05059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸田 知得 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (70571199)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖代謝 / 視床下部 / グルコースセンシング / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はグルコース感受性神経におけるミトコンドリア形態変化に着目し、生活習慣病においてどのような分子が脳のグルコースセンシングを低下し、糖尿病発症に関与するかを明らかにすると共に、その分子が糖尿病治療のターゲット分子となり得るかを明らかにすることである。平成30年度は以下の研究成果を得た。 ①グルコースによって活性化される神経細胞(グルコース興奮性神経)を赤色蛍光でラベルする実験条件を確立した。 ②①によりラベルされた細胞がグルコース興奮性神経であるかを、マウスの脳切片のカルシウムイメージングによって確認したところ、測定細胞中の約70%がグルコース興奮性神経であった。一方で、肥満モデルマウスではグルコースに対する応答が低下していた。 ③この神経細胞の活動を人為的に操作し、活性化または抑制した。その結果、ラベルされた神経細胞は血糖値を低下する作用があることを見いだした。従って、この神経細胞は血糖値の増加を感知し、血糖値を低下するよう働く神経であることが分かった。 ④グルコース興奮性神経をラベルした後、マウスを肥満させ、肥満・糖尿病の原因遺伝子を探索した。その際、ラベルした細胞を分離して取りだし、single cell RNA sequenceによって遺伝子発現を測定した。その結果、いくつかの糖尿病治療ターゲット遺伝子を得た。それぞれの遺伝子に対する阻害剤またはタンパク質を脳内に投与した所、1つの分子に糖尿病改善効果があった(特許出願準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り糖尿病治療のターゲットとなり得る分子を見つけることが出来た。北海道大学の知的財産専門部会で特許出願をするか審査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回見つかった分子Aがどのようなメカニズムで糖尿病を引き起こし、分子Aの投与が糖尿病を改善するか明らかにする。具体的には①神経回路、②細胞内分子メカニズム、③ミトコンドリアの形態変化に注目し、これらの変化を観察する。北海道大学知的財産専門部会の審査結果によるが、可能であれば特許を出願する。これまでのデータをまとめ、学会や科学雑誌において発表する。
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[Journal Article] Activation of AMPK-Regulated CRH Neurons in the PVH is Sufficient and Necessary to Induce Dietary Preference for Carbohydrate over Fat2018
Author(s)
Shiki Okamoto, Tatsuya Sato, Michihiro Tateyama, Haruaki Kageyama, Yuko Maejima, Masanori Nakata, Satoshi Hirako, Takashi Matsuo, Sanda Kyaw, Tetsuya Shiuchi, Chitoku Toda, その他, Yasuhiko Minokoshi
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 22
Pages: 706~721
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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