2017 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類動物を用いた子宮同種移植モデルの確立および免疫応答の解明と社会的基盤の構築
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17H05099
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木須 伊織 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (30445267)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子宮移植 / 子宮性不妊症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、カニクイザルを用いて安定した子宮同種移植モデルの作製を確立させ、子宮の免疫応答および組織適合性を解明することを目指し、カニクイザルを用いて2件の子宮同種移植実験を行った。プールされたMHC解析済みのカニクイザルの中から、同型の血液型の個体を選出し、クロスマッチを行い陰性を確認したレシピエントおよびドナーを用いた。手術方法は、より安定した術式を確立するために、より太く長い血管柄を摘出できる脳死ドナーを想定した術式が適していると判断し、ドナーの大動脈および下大静脈をレシピエントの大動脈および下大静脈に各々端側吻合することとした。初めの1件目はドナーレシピエント間でMHC半ハプロ一致ペアを、2件目はMHCミスマッチペアで行った。ドナー手術時間はそれぞれ8時間26分、7時間51分、レシピエント手術時間は5時間53分、6時間39分であり、周術期合併症は見られなかった。術後は同プロトコールの免疫抑制剤を投与し、定期的に子宮頸部生検を行い、我々が既に確立した拒絶反応基準をもとに、拒絶反応の診断を行った。術後いずれの個体においても術後1ヶ月後に月経が回復した。MHC半ハプロ一致ペアにおいては周期的な月経回復を確認できたため、術後5ヶ月後に人工授精を開始し、現在も妊娠を試行中である。MHCミスマッチペアにおいては、術後2ヶ月後の子宮頸部生検による病理組織学的所見で拒絶反応を認め、抗ドナー抗体陽性となった。そのため、現在ステロイドバルス療法にて加療中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定では3件の子宮同種移植実験を行う予定であったが、2件にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
カニクイザルにおける子宮同種移植モデルの追加作製に努める。また、市民や不妊患者へのアンケートによる意識調査を行い、社会の意識を継続的に把握する。さらには、実施施設内での指針作成および倫理申請書類を作成する。また関連学会や厚労省へ実施の可能性について働きかけていく。
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Research Products
(17 results)