2017 Fiscal Year Annual Research Report
Search for novel modulators of cereblon, the target of thalidomide that regulates neural stem cell proliferation and deifferentiation
Project/Area Number |
17H06112
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
半田 宏 東京医科大学, 医学部, 特任教授 (80107432)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40293302)
山口 雄輝 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (50345360)
北 泰行 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (00028862)
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
|
Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2020-03-31
|
Keywords | CRBN / セレブロン / サリドマイド / CRBN作動薬 / 脳発生 / 神経幹細胞 / ヒト型ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
(半田)脳の発生過程におけるCRBNの機能について、ゼブラフィッシュを用いて解析を行った。CRBN発現阻害により、頭部が縮小して神経細胞が減少するサリドマイド(Thal)処理と同様の表現型が観察され、頭部でp53依存的な細胞死が誘導され、CRBNが神経幹細胞数を制御することを明らかにした。また、神経幹細胞を可視化したトランスジェニック(Tg)系統を用いてCRBN作動薬のスクリーニングを行い、既存CRBN作動薬よりも低濃度で頭部拡大活性を持つ化合物を同定した。 (山口)shRNAライブラリーを用いた遺伝的スクリーニングによりCRL4CRBNの活性制御に関わる因子を網羅的に探索し、CRL4CRBNの酵素活性がNedd化を制御するCOP9シグナロソーム複合体やインポーチンKPNB1によって調節されることを突き止め、CRL4CRBNの翻訳後修飾や細胞内局在が活性制御に重要な役割を果たすことを明らかにした。 (柴田)CRBN作動薬のThal,ポマリドミド(Pom)の不斉炭素にフッ素,メチル基を導入し、増炭したホモThal 3種を開発し、Thal,Pom,レナリドミド(Len)の代謝物5種の合成と生理活性試験サンプル25検体以上の合成に成功した。不斉炭素にフッ素を導入したF-Thalは、In vitro CRBN結合試験によりR体,S体に関わらず結合しないことが判明した。 (北)CRBNと結合する新規リガンド構造解明のため、Thal、Len、Pomの芳香環を複素環に、芳香環上の官能基をヘテロ官能基に変換した関連化合物計30種類の合成設計を検討し、14種類の合成に成功した。 (林)トランスポゾンを利用した遺伝子導入法であるTol2システムを用いてヒトCRBN Tgゼブラフィッシュの作製を試み、CRISPR-Cas9システムを用いてCRBNノックアウト(KO) ゼブラフィッシュの作製も試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(半田)ゼブラフィッシュ胚をモデル系として野生型CRBNの機能解析を行い、CRBNが神経幹細胞の増殖を制御することを明らかにし、脳の初期発生過程において重要な役割を果たすことを示した。また、ゼブラフィッシュTg系統を用いてCRBN作動薬のスクリーニングを行い、既存CRBN作動薬よりも低濃度で頭部拡大と神経幹細胞増加の活性を持つCRBN作動薬Shibata#2を新たに同定した。 (山口)CRL4CRBNの活性制御に関わる因子の網羅的探索を行い、インポーチンKPNB1がCRL4CRBNの活性調節に関わることを突き止めた。さらに、核内のCRL4CRBNがPom依存的な核内基質Aiolosの分解を担う一方、細胞質のCRL4CRBNはCC-885依存的な細胞質基質GSPT1の分解を担うことを示し、CRL4CRBNの細胞内分布がCRBN作動薬の薬効発現に重要であることを明らかにした。 (柴田)計画通りにThalライブラリーの合成が進展しているために、ケミカルバイオロジー班との連携が速やかに行うことが出来ている。また,その中で興味深い生物学的挙動が観測されている。 (北)合成に成功した新規14化合物のうち4種はCRBNと強く結合することが分かり、これらの光学活性化合物の合成にも成功した。 (林)ヒトCRBN Tgゼブラフィッシュの作製では、ヒト正常型CRBN、Thal非結合型CRBN(YW/AA変異型)とEGFPを連結したEGFP-ヒトCRBN融合タンパク質をメダカβ-アクチンプロモーター下で発現する遺伝子導入用コンストラクトを作製し、正常型、YW/AA変異型共にF1世代が得られ、Tg系統が確立された。ゼブラフィッシュCRBN KOの作製では、ゼブラフィッシュCRBN遺伝子領域中にガイドRNAを設計し、PCRによる遺伝子解析でCRBNターゲット領域における遺伝子変異を確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(半田)脳の発生過程にCRBNがどのような作用を及ぼすのかを、ゼブラフィッシュ胚をモデル系としたmRNAインジェクションによる過剰発現系を用いて解析を行う。また、神経幹細胞を可視化したゼブラフィッシュTg系統を用いて、引き続きCRBN作動薬のスクリーニングを行い、頭部拡大と神経幹細胞の増加を指標に、より高い活性を持つCRBN作動薬の探索・同定を行う。さらに、ヒト神経幹細胞の培養系を確立し、新たに同定されたCRBN作動薬のヒト神経幹細胞に対する活性についても解析を行う計画である。 (山口)CRL4CRBNの新規基質の探索・同定を目指して、K-ε-GG抗体を用いたプルダウン、TUBE法、SILAC法、ソフトウェアMaxQuantといった複数の解析手法を2017年度中に整備したので、2018年度はこれらを活用してCRL4CRBNの新規基質を探索・同定する。 (柴田)引き続きサリドマイドライブラリーの合成を行うと共に,CRBNとの結合を足がかりとしたタンパク質分解誘導型分子の合成にも取りかかる。また,サリドマイドの不斉炭素とCRBNとの結合および生物活性との関係についても詳細に調べていく。 (北)合成した化合物について、神経幹細胞を可視化したゼブラフィッシュTg系統を用いたスクリーニング研究を行う。 (林)ヒトCRBN Tgゼブラフィッシュの作製では、F2世代ヘテロ接合体の交配によりホモ接合体を確立し、ヘテロ接合体を用いた実験を実施すると共に、CRBN欠損ゼブラフィッシュの作製を行う。CRBN KOゼブラフィッシュの作製では、遺伝子変異を持つ可能性が高い個体群を成魚まで生育させ、変異を持つ個体をスクリーニングする。遺伝子変異を持つ個体とヒトCRBN Tgとを交配することで、ゼブラフィッシュCRBN KOヒトCRBN Tgを作製する計画である。
|
Research Products
(68 results)