2019 Fiscal Year Annual Research Report
Frustration-induced spin textures
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17H06137
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川村 光 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 客員教授 (30153018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南部 雄亮 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60579803)
鳴海 康雄 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (50360615)
青山 和司 大阪大学, 理学研究科, 助教 (00623133)
高阪 勇輔 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60406832)
富安 啓輔 株式会社日産アーク(マテリアル解析部、デバイス機能解析部), マテリアル解析部、デバイス機能解析部, 主任研究員 (20350481)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 磁性、 / フラストレーション / スピンテクスチャ / トポロジー / スカーミオン / Z2 渦 / カイラリティ、 / 多重Q 秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
繰り越し前の当初計画においては、令和元年11月までに中性子準弾性散乱の準備・測定・解析を行い、令和2年3月までに研究会、国際研究集会での発表を行う予定であった。令和元年9月に中性子準弾性散乱測定を実施した結果、予想していた幅~0.01J(J:相互作用エネルギー)の鋭いピークに加え、新たに極めて幅の狭い(~0.001J)ピークを観測した。先の理論シミュレーションでは、時間分解能の関係上、このピークを検出できなかった。これらはZ2渦転移の近傍でのみ観測され転移の本質に関わっている。研究遂行上その解明が不可欠になったため、新たなシュミレーションに基づいて実験データの解析を行う必要が生じた。繰り越し後、R2年度にかけて、該当する大規模理論シミュレーションを遂行した結果、実験データと整合する極めて幅の狭い(~0.001J)自由Z2渦由来のピークの観測に成功、実験結果の満足すべき理解に至った。この成果を受けR2年度中に繰り延べた国際会議を開催する予定であったが、コロナ禍のためR2年度中の開催が不可能となり、R3年度に再繰り越しを行った。最終的には、R3年12月22,23日の両日、神戸国際会議場にて、国内外からおよそ100名の参加者を得て、当該国際会議を、現地・オンライン併用のハイブリッド形式にて成功裏に開催することが出来た。また「中性子準弾性散乱と理論シミュレーションの協働によるZ2渦の検出」という今回の繰り越し理由となったテーマについての招待講演も、当基盤S研究からの他の成果発表についての招待講演と並んで行われ、当科研費成果の周知・広報という意味でも大きな効果が上がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染の影響で2021年度に再繰り越しとなった本基盤Sテーマに関する国際研究集会"International Conference on Frustration, Topology and Spin Textures (ICFTS)"に関しては、現地とオンラインを併用したハイブリッド形式にて、2021年12月22,23日の両日、神戸国際会議場にて、国内外からおよそ100名の参加者を得て、成功裏に開催出来た。現地およびオンライン双方の参加者を交えた大変活発な質疑応答が行われ、関連分野の研究者間の情報交換と相互理解に資することが出来た。また、「中性子準弾性散乱と理論シミュレーションの協働によるZ2渦の検出」という今回の繰り越し理由となったテーマも含めた、当科研費で得られた諸研究成果に関し複数の招待講演が行われ、当科研費成果の周知・広報という意味でも、大変有効な役割を果たした。
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Strategy for Future Research Activity |
再繰り越し後の2021年12月22,23日の両日、神戸国際会議場にて、予定していた国際研究集会"International Conference on Frustration, Topology and Spin Textures (ICFTS) " を、現地とオンライン併用のハイブリッド形式にて国内外からおよそ100名の参加者を得て成功裏に開催出来た。また当初の繰り越し理由の一つであった、中性子散乱実験と量的比較を行う上で必要となった大規模数値シミュレーションに関しても完遂し、結果は既に学術論文として公表済みである。今後、これら本基盤Sの研究成果は、Z2渦を始めとするトポロジカルスピンテクスチャの物理のさらなる発展のベースになろう。
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Research Products
(6 results)