2017 Fiscal Year Annual Research Report
New Frontier of Substrate-Controlled Chemical Reaction
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17H06142
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山本 尚 中部大学, 総合工学研究所, 教授 (20026298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤倉 松次郎 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70303683)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 複核金属触媒 / 不斉酸化反応 / チタン触媒 / ラクトン環 / 閉環反応 / エポキシ度 |
Outline of Annual Research Achievements |
すでに、本研究に着手する以前の研究で有機合成の触媒として確立されている単核金属触媒での反応を複核触媒に変え、一方の金属で気質をホールドし、別の金属で様々な反応をさせるべく、研究を進めてきた。その結果、遠隔位の官能基の導入や活性化を行うことが可能であるとすでに一部報告している。特に、不斉合成反応はチタンの2核触媒で成功し、水酸基を持つアミンオキシドやスルホキシドを、世界で初めての遠隔不斉酸化することに成功した。特にアミンオキシドの不斉合成はこれまでほとんど知られておらず、マイルストーン的な研究に発展した。今後、創薬における新しい骨格として重要になると予想している。さて、ここでは、新しい基質としてベータ・ガンマ不飽和カルボン酸の不斉エポキシ化に挑戦した。この反応も、これまでに全く例がなく、その点ではこれまでによく知られているアルファ・ベータ不飽和カルボン酸の不斉エポキシ化とは全く状況が異なる。 反応はフリーのカルボン酸で進行し、あらかじめカルボン酸をエステル化する必要はない。予定通り、大変に高い不斉収率で反応が進行し、光学活性エポキシドが高収率で得られる。反応後、基質の構造で少し異なるが、カルボン酸は生成するエポキシドを分子内で開裂させ、不斉のヒドロキシ基を持つガンマラクトンになった。不斉の収率は95%以上であり、場合によっては99%となる。全く新しい様式の不斉合成変換反応に成功したのである。それと同時に、創薬でよく用いられるインドール環を持つ化合物にもこの不斉合成反応を適用し、多環式のヘテロ環化合物の不斉合成を試み、これも非常に高い不斉収率で反応が進行することを確認した。カルボン酸の金属塩はカルボン酸鎖の反対側を活性化するのが、通例であり、その意味では単純な水酸基とは全く状況が異なっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトは順調に進展し、ほぼ、予想通りの成果をあげた。残念ながら、ガンマ・デルタ不飽和カルボン酸の不斉酸化は挑戦したが反応は進行しなかった。これは本触媒の両金属間の距離が十分ではなく、5-6オングストロームではなく少なくとも7-9オングストロームの距離が必要であったからである。現在、この目的とする配位子の合成に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
金属間の距離を広げるには新しい設計概念が必要となる。ここではベンゼン環一つ分を離すことで、この目標を達成すべく、研究を進めている。こうした研究を進めることで、これまで必ずしも十分に研究が進んでいなかった基質支配の有機合成反応が展開すると信じている。また、反応は必ずしも、酸化反応ばかりでなく、エステル化やアミド化をはじめ、種々の炭素骨格合成やアミノ基導入反応にも展開してゆきたい。
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Research Products
(10 results)