2019 Fiscal Year Annual Research Report
Creation and development of high-order nano-space structures through innovative control of stress field
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17H06146
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
巨 陽 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60312609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳 悠葵 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (60750180)
木村 康裕 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70803740)
細井 厚志 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (60424800)
森田 康之 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (90380534)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ空間構造体 / 応力場制御 / 原子拡散 / 透明導電膜 / 太陽光水素製造 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.半導体ナノ構造体の生成機構の解明 比較的低い加熱温度で形成した厚い表面酸化膜の下に蓄積された大きな駆動応力により、大量の金属原子が一気に酸化膜ウイークポイントから放出されること、そして形成されたナノ構造体表面における酸化物の原子配列密度が低いことから、内部の金属原子が表面に拡散されることが金属酸化物ナノ構造体の生成・形状に影響する要因であることを分子動力学シミュレーションにより明らかにした。また、ナノ構造体の高密度成長の発生機構は、金属薄膜の表面において引張応力が働いていることによって、原子の低密度化により金属原子の拡散が促進され、遷移できる原子の個数が多いであることを突き止めた。 2.フレキシブル透明導電膜の作製 フレキシブル基板上に粘着性薄膜をコーティングし、Al/Si基板上に作製した高密度単結晶Alナノワイヤアレイをフレキシブル基板上に転写し、保護薄膜を蒸着することにより、高強度、高導電性のフレキシブル透明導電膜を実現した。 3.フレキシブル透明導電膜の最適化 ナノワイヤの直径、長さ、密度が透明導電膜の強度、導電性、透光性に及ぼす影響を実験的に明らかにした。さらに、ナノワイヤの直径、長さ、密度を最適化したナノワイヤアレイにより、電気抵抗率:396 Ω/sq、光透過率:87.0%の金属ナノワイヤフレキシブル透明導電膜の創製を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで予定されていた研究計画は順調に実施されており、高密度かつ高品質なAlナノワイヤアレイおよびCu2Oナノフラワーの創製に成功した。また、金属ナノワイヤおよび半導体ナノ構造体の成長に関する応力場の解析や成長メカニズムの解明にも着実な成果を挙げている。さらに、高密度単結晶Alナノワイヤアレイを用いた透明導電膜の創製にも実現した。一方、応力酸化誘導法を更に発展させ、高秩序、高品質、高密度のFe2O3ナノワイヤアレイの創製に成功した。また、転位、結晶粒界も金属・半導体ナノ構造体の成長に影響を及ぼしていることを突き止め、今後の更なる実験的かつ理論的な解析により、ナノ構造体の新しい成長メカニズムを世界に先駆けて提案することが期待できる。さらに、当初の目標を超え、Cu2Oナノ構造体およびFe2O3ナノワイヤアレイを太陽光水素製造に応用し、それぞれ世界最高レベルの変換効率を達成した。特に、応力場制御によりFe2O3ナノワイヤのα相の高純度化を実現することにより、高い変換効率かつ高い耐久性を有する太陽光水分解水素製造素子を実現し、今後の更なる高性能かつ低コスト、実用化の早期実現が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
(Ⅰ)転位・結晶粒界が原子拡散に及ぼす影響の解明 超高分解能TEMを用いて、Al薄膜におけるナノワイヤ成長領域内外、成長前後、表界面の結晶構造や原子配列の実験的解析を行い、原子スケールでの薄膜の結晶性状とナノワイヤ成長の因果関係を解明する。また、分子動力学シミュレーションにより、応力場における転位や、結晶粒界などが原子の拡散やナノワイヤ成長に及ぼす影響を明らかにする。最終的に実験および理論的な解析を融合することにより、金属ナノワイヤが高密度成長できるメカニズムを新たに解明する。 (Ⅱ)透明導電膜の低コスト大面積製作の実現 Al/Si基板の裏面に熱膨張係数がSiより低い材料をコーティングし、その厚さを最適化することにより、加熱時にAl薄膜の全面にナノワイヤの高密度成長に必要な応力場を形成する。また、原子の拡散速度や拡散経路を増やすため、Al薄膜を形成する際に酸素原子の導入を試みる。さらに、Al薄膜の厚さ方向に大きな原子拡散駆動力の制御を実現するため、Al 薄膜とSi基板間にCr中間層を導入し、その厚さの最適化を行う。最終的にに、Alナノワイヤアレイの大面積成長およびフレキシブル透明導電膜の低コスト製作手法を確立する。 (Ⅲ)半導体3次元空間構造体の創製 作製した高密度Cu2Oナノ構造体をCNTシートにより担持し、多層構造を実現することにより、高い受光面積を有する3次元ナノ空間構造体配列の創製を実現する。また、3次元ナノ空間構造体配列の吸光効果を解析し、エネルギー変換素子としてのバンドギャップを評価する。さらに、実際にCu2O半導体と電解質水溶液で形成されているショットキーバリアの高さや空乏層幅を算出する。これらの解析結果により、3次元ナノ空間構造体配列の形状、密度、空間空隙の最適化を行い、超高変換効率を実現した太陽光水分解水素製造素子を開発する。
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Research Products
(29 results)