2018 Fiscal Year Annual Research Report
An Integrated Multi-scale Approach for Studying Cyanobacterial Circadian Clock System
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17H06165
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
秋山 修志 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 教授 (50391842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝男 名古屋大学, 理学研究科, 名誉教授 (10124223)
上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20311128)
古池 美彦 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (70757400)
藤原 悟 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員(定常) (10354888)
片岡 幹雄 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, サイエンスコーディネーター (30150254)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | シアノバクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
KaiCを中核とした概日時計システムの詳細を明らかにするため、KaiCのATPase活性(Ouyang et al. 2019 submitted)や生物発光リズムを指標としたKaiC変異体のスクリーニングを実施した。野生型およびスクリーニングされた各種KaiC変異体の構造解析を実施し、ATPase活性を担うCIドメインからリン酸化/脱リン酸化を担うCIIドメイン(及びその逆も)への作用機序を確認した。CI自体の構造変化、CII自体の構造変化、CIとCIIの連携による構造変化、これらを区別しつつ互いの因果関係を読み解くべく、構造解析と変異体解析を駆使して研究を進めた。他方、構造解析から見いだされた作用機序とKaiA/KaiB結合との関係についても注意深く考察を進めている。 蛍光プローブを導入したKaiCを用いてKaiCとKaiBの相互作用を検証し、KaiCの遅いATPase活性がKaiBとの結合のタイムスケールを律速する重要な因子の一つであることを解明した(Mukaiyama et al. 2018)。KaiA/KaiB相互作用をKaiC6量体の構造不均一性の観点から検証するべく、μ流路型自動サンプリングシステムを用いた連続滴定測定系を構築した。リン酸化/非リン酸化混合KaiCに対して、KaiA/KaiBの連続滴定X線溶液散乱測定を行ったところ、結合モードの非線形的な応答が見出され、KaiC6量体内の不均一性に由来する可能性が強く示唆された。 進化系統樹をもとにKaiCホモログを調製して固有振動数を評価し(これまでに21種類実施して10種類成功)、in vitro/in vivoスクリーニング系で同定された各種変異体や構造解析の結果と対比させつつ、進化的多様性について考察を進めた。 予備的中性子準弾性散乱測定の解析から、KaiCの内部運動が変異により変化する可能性が示されたため、野生型及び温度補償性が大きく損なわれたKaiC変異体についての中性子準弾性散乱実験を実施し、その運動の温度依存性を詳細に調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【秋山グループ】KaiCのATPase活性を指標に、シアノバクテリア生物時計の変異体をin vitroで迅速にスクリーニングするシステムを構築した(投稿中)。野生型およびスクリーニングされた各種KaiC変異体の構造解析を実施し、ATPase活性を担うCIドメインからリン酸化/脱リン酸化を担うCIIドメイン(及びその逆も)への作用機序を確認した。進化系統樹をもとにKaiCホモログを調製して固有振動数を評価した(21種類実施して10種類成功)。概日周期に相当する振動数(1.0/日)を中央値とした分布が確認されたが、振動数が優位に低い/高いホモログが認められた。スクリーニングされた各種変異体や構造解析の結果と対比させつつ、進化的多様性について考察を進めている。 以上、in vitro ATPaseスクリーニング系の構築、焦点を絞った徹底的な構造解析、進化的多様性の検証、いずれも順調に進展している。 【近藤グループ】CIとCIIの境界面/リンカーに、アミノ酸点変異ライブラリを作製し、シアノバクテリアの発光測定システムによって温度補償性が異常な変異体をスクリーニングした(約10か所)。これらの変異は今後の構造解析が期待され、研究は概ね順調に進展している。 【上久保グループ】μ流路型自動サンプリングシステムを用いた連続滴定測定により、KaiC6量体の構造不均一性を評価した。その結果、リン酸化/非リン酸化体の混合比率が異なるKaiCのKaiA結合モードが観測された。更に、混合比に対する結合モードの非線形的な応答が示唆されたことから、KaiC6量体内のリン酸化状態の不均一性の評価に本手法が有効であることが実証された。 【藤原グループ】野生型及び温度補償性が大きく損なわれたKaiC変異体について中性子準弾性散乱実験を実施したところ、内部運動の温度依存性が変異によって変化することを見出しつつあり、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の中核をなす研究項目については、2019年度を目処に研究成果が論文発表できるよう必要となる実験を加速させる。変異体ライブラリ構築については、秋山グループ(in vitro ATPaseスクリーニング系)と近藤グループ(in vivo生物発光スクリーニング系)で協力して研究を進める。in vitro ATPaseスクリーニング系はin vivo生物発光スクリーニング系と両輪をなすものであり、これによって周期や温度補償性に異常をきたしたKaiC変異体の同定が劇的に加速される。秋山グループでは、焦点を絞った徹底的な構造解析(野生型および新規KaiC変異体)、新規KaiCホモログの発現と解析(目標:新規5種)に取り組む。KaiCに内在する2種類のATPase活性の関係性については近藤グループが中心となって生化学的研究を実施する。KaiCとKaiA/KaiBの相互作用については、上久保グループを中心にμ流路型自動サンプリングシステムを用いた実験を本格的に実施する。藤原グループでは、in vitro/in vivoスクリーニング系で同定されたKaiC変異体の中性子準弾性散乱測定を実施する。
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Research Products
(34 results)
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[Journal Article] Identification of a novel zinc-binding protein, C1orf123, as an interactor with a heavy metal-associated domain2018
Author(s)
Furukawa Yoshiaki, Lim Carolyn, Tosha Takehiko, Yoshida Koki, Hagai Tomoaki, Akiyama Shuji, Watanabe Shoji, Nakagome Kenta, Shiro Yoshitsugu
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 13
Pages: e0204355
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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