2017 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of ALK, a receptor-type protein tyrosine kinase in axonal regeneration
Project/Area Number |
17H06752
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
町野 正明 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70807510)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | 受容体型チロシンキナー / 未分化リンパ腫キナーゼ / 神経軸索 |
Outline of Annual Research Achievements |
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の阻害剤であるASP3026とALKのアゴニストであるモノクロナール抗体(mAb16-39)をHEK293T細胞株に投与し、リン酸化ALKの発現を免疫染色とWestern blotting法にて確認した。その結果ASP3026投与にて濃度依存性にリン酸化ALKの発現は低下し、mAb16-39投与にてALKの発現は上昇した。マウス後根神経節DRG(dorsal root ganglion)初代培養ニューロンにASP3026とmAb16-39を投与し神経軸索長と神経sproutingを定量的に評価した。ALKのKnock down有無によるDRGニューロンの神経軸索長とsproutingを比較検討した。その結果ASP3026投与にて神経軸索伸長とsproutingは有意に抑制され、mAb16-39投与にて神経軸索伸長とsproutingは有意に亢進することを確認できた。またALK をKnock downすることで神経軸索伸長とsproutingは有意に抑制された。 ALKのリガンドを特定するために表面プラズモン共鳴・質量分析計(SPR)を用いた実験を行った。その結果CS-B(デルマタン硫酸)がALKと最も相互作用のあることが分かった。デルマタン硫酸のコア蛋白であるBiglycanとDecorin投与にて濃度依存性にリン酸化ALKの発現は亢進した。デルマタン硫酸、コア蛋白投与群で神経 軸索成長円錐尖端においてリン酸化ALKの発現が亢進していた。デルマタン硫酸、コア蛋白投与群で有意に神経軸索が伸長していた。デルマタン硫酸とそのコア蛋白はALKの活性化を誘導し軸索伸長に寄与しており、今後神経再生研究に応用できることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALK阻害剤であるASP3026をHEK細胞株に投与し、濃度依存性にリン酸化ALKの発現は低下することをWestern blotting法にて確認できた。マウス後根神経節DRG(dorsal root ganglion)初代培養ニューロンにASP3026を投与し、神経軸索伸長とsproutingは抑制されることを免疫染色にて計測し確認した。 またALKのアゴニストであるモノクロナール抗体(mAb16-39) をHEK細胞株に投与し濃度依存性にリン酸化ALKの発現は上昇することをWestern blotting法にて確認できた。初代培養ニューロンにmAb16-39投与し、神経軸索伸長とsproutingは亢進することを免疫染色にて計測し確認した。 N2a 細胞株に siRNA を用いた ALK の knock down を行い、qRT-PCR にて ALK の mRNAを計測しknock downにて有意にALKの発現は低下した。ALKをKnock downすることで神経軸索伸長とsproutingは有意に抑制されることを免疫染色にて計測し確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
表面プラズモン共鳴(SPR)・質量分析計を用いて精度の高いターゲットの捕捉を狙う。リガンド候補(コンドロイチン硫酸 CS-A、CS-C、CS-D、CS-E、ケラタン硫酸(KS)、へパラン硫酸 (HS)との相互作用を解析する。同定されたリガンド候補をHEK293T細胞株に投与しリン酸化ALKの発現を免疫染色とWestern blotting法にて確認する。リガンド候補のコア蛋白を用いて同様の実験を行う。C57BL/6Jマウス後根神経節DRG(dorsal root ganglion)から抽出した初代培養ニューロンを用いて神経軸索伸長を投与群と非投与群にて定量的に比較検討する。また初代培養ニューロン軸索尖端におけるリン酸化ALKの発現を免疫染色にて観察する。ALKと最も相互作用のあることが分かったプロテオグリカン(コア蛋白)であるBiglycanとDecorin投与にて濃度依存性にリン酸化ALKの発現を確認する。コア蛋白投与群で神経軸索成長円錐尖端においてリン酸化ALKの発現が亢進するか検証する。コア蛋白投与群で神経軸索が伸長することが予想される。CS-B(デルマタン硫酸)はALKに結合する新たなリガンドであり、ALKを活性化する機能を有することが予想される。デルマタン硫酸とそのコア蛋白はALKの活性化を誘導し軸索伸長に寄与しており、今後神経再生研究に応用できることが期待される。ALKがin vivoでの軸索再生に関わっていることを、視神経損傷モデル・脊髄損傷モデルを利用して確認していく。中枢神経損 傷後の機能回復に差があるかどうかも検討していく。
|