2017 Fiscal Year Annual Research Report
Possible role of mTORC1 in diabetic nephropathy
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17H06767
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
大澤 紀之 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80805820)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / mTORC1 / ケトン体 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎臓病において、蛋白尿を有さない早期腎機能低下に対する治療法の開発が望まれている。近年、SGLT2阻害薬による腎保護効果に、血中ケトン体上昇に伴う組織内エネルギー代謝の改善が寄与している可能性が示唆されているが、その詳細は不明である。本研究では、動脈硬化のモデルマウスであるApoE欠損マウスに高脂肪食負荷を加えた肥満2型糖尿病モデル (HFD-ApoE-KO)を作成し、肝臓でβ-ヒドロキシ酪酸に変換されるケトン体前駆物質である1,3-ブタンジオール(1,3-BD)の経口投与による腎保護効果を検証した。通常食飼育の野生型マウスに比し、HFD-ApoE-KOマウス は、尿中アルブミン排泄増加を伴わない血清シスタチンCの上昇を認めた。またHFD-ApoE-KOマウスでは、腎組織内ATP含量の低下、腎間質でのF4/80陽性細胞数とフィブロネクチン沈着の増加が確認された。一方、経口1,3-BD投与により血中ケトン体濃度は有意に上昇し、HFD-ApoE-KOマウスの腎病変は全て改善した。 また、腎組織でのmTORC1蛋白発現を検討したところ、HFD-ApoE-KOマウスでの発現増加は、経口1,3-BD投与により抑制された。さらに2型糖尿病モデルであるdb/dbマウスにおいて、増加したアルブミン尿も経口1,3-BD投与により抑制されており、その機序としてのmTORC1の関与を今後検討したい。 本研究により、ケトン体による腎へのエネルギー供給が、糖尿病に伴う動脈硬化に起因した早期腎機能低下に対する治療戦略となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期待どおりの結果が得られているため
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Strategy for Future Research Activity |
1) mTORC1過剰亢進に伴う腎障害に対するβ-OHBの効果の検証。 これまでの検討からmTORC1の抑制が腎症の新規治療となる可能性を考えている。TSC1蛋白はmTORC1の上流に存在する蛋白であり 、mTORC1機能を抑制している。TSC1欠損は細胞におけるmTORC1の過剰亢進をもたらし、ポドサイト特異的TSC1欠損マウスは腎症 類似の高度の蛋白尿を、近位尿細管細胞特異的TSC1欠損マウスは尿細管障害を引き起こすことが報告されている。そこで、β-O HBによる腎症改善効果がmTORC1抑制を介した可能性を検証するために、ポドサイト特異的TSC1欠損マウス、近位尿細管細胞TSC1 欠損マウスに対する1,3-ブタンジオール混餌食投与を行い、血中β-OHBがTSC1欠損を介したmTORC1過剰亢進により生じる臓器障 害を改善しうるかを検証する。ポドサイトならびに近位尿細管特異的TSC1欠損マウスはCre-loxPシステムで作製する。 2) 培養細胞を用いたβ-OHBによるmTORC1抑制機構の探索。 これまでに、培養細胞でβ-OHBがmTORC1を抑制しうることを発見している。mTORC1はリソソーム膜への移行ならびにインスリン シグナルにより正に制御されている。一方AMPKによって負に制御されている。これらのシグナルや膜移行にβ-OHBが及ぼす影響 を検討する。既知の制御機構以外の可能性がある際には生物学的実験手法を用いて、mTORC1の新たな制御機構の解明を目指す。
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