2017 Fiscal Year Annual Research Report
凍結乾燥を応用した骨誘導能を有するiPS細胞由来の新規骨補填材の開発
Project/Area Number |
17H06851
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 治毅 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00807571)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | iPS細胞 / 凍結乾燥 / 骨補填材 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の歯科インプラント治療の普及に伴い,骨増生術に用いる骨補填材の需要は高まっている。申請者は,iPS細胞を腫瘍化させずに移植に安全な状態で利用することを目的に,細胞を不活化して本来の骨質に近い性質をもったiPS細胞由来骨補填材を作製し,生体に移植するという方法を着想した.本研究の目的は,骨基質成分を大量に産生するマウスiPS細胞の最適な培養方法を明らかにし,凍結乾燥により不活化されたマウスiPS細胞由来骨補填材を作製し,臨床応用へ展開することである。 平成29年度は,骨基質成分を大量に産生するマウスiPS細胞凝集体を作製する振盪培養の最適な周波数を検証した.さらに,最適な周波数において,骨芽細胞に分化誘導したマウスiPS細胞凝集体のカルシウム量,骨芽細胞特異的遺伝子の発現,タンパク質量や成分に与える影響を検証した。 乾燥質量測定やカルシウム量測定(MXB法)の結果より,マウスiPS細胞凝集体を作製する振盪培養の最適な周波数が明らかとなった。また,最適な周波数において,骨芽細胞に分化誘導したマウスiPS細胞凝集体の大きさ,質量,骨芽細胞特異的遺伝子の発現,カルシウム量や培養上清中の蛋白質量は増加することが明らかとなった。そして,成分解析(FT-IR)の結果より,マウスiPS細胞凝集体が産生した基質は骨特異的なスペクトルを示すことが明らかとなった。 今後,マウスiPS細胞凝集体を凍結乾燥して不活化することによりマウスiPS細胞由来骨補填材を作製し,得られたマウスiPS細胞由来骨補填材の性質を明らかにしていくことが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで,骨基質成分を大量に産生するマウスiPS細胞の最適な培養条件を検討するために,振盪培養が骨芽細胞に分化誘導したマウスiPS細胞凝集体に与える影響を,乾燥質量測定やカルシウム量測定により最適な周波数を確認できている。また,その条件下において骨芽細胞に分化誘導したマウスiPS細胞凝集体のカルシウム量,骨芽細胞特異的遺伝子の発現,蛋白質量は増加することが確認できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は, 振盪培養により骨芽細胞に分化誘導したマウスiPS細胞凝集体を凍結乾燥して不活化することによりマウスiPS 細胞由来骨補填材を作製し,作製したマウスiPS細胞由来骨補填材の性質を明らかにし,また,in vivoにおける骨再生能を調べるとともに腫瘍化していないことを検証していく。
|