2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H07079
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
鰐淵 秀一 共立女子大学, 国際学部, 専任講師 (30803829)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 北米植民地 / イギリス帝国 / 環境史 / ポリティカル・エコノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は北米植民地の環境史におけるイギリス帝国の役割を帝国のポリティカル・エコノミーという観点から明らかにすることを目的としている。2017年度は二年間の研究期間の前半にあたる。 2017年度は、研究環境の整備と研究テーマの本格的検討のための準備として、二次文献及び一次史料の収集と植民地時代の環境史をめぐる先行研究の整理に比重を置いて研究を進めた。まずは、イギリス帝国史と北米植民地の環境史に関する文献の蒐集・検討を進め、イギリス帝国史研究に対して北米を対象とする環境史研究は帝国という視座が弱いことを確認し、あらためてこの視座を北米植民地の環境史研究に導入する研究史的意義が明らかになった。ここで得られた知見を生かすため、近世イギリス帝国による北米大陸の植民と環境に関する先行研究を整理する動向論文を執筆中である。 また、今年度予定していた研究を開始し、近世イギリス大西洋世界における農本主義思想に関する先行研究および王立協会や王立工芸協会をはじめとするイギリス科学団体の文献の検討を行った。前者については、イギリス植民帝国の起源としてのアイルランド植民や初期の北米探検や入植に関する様々な史料や先行研究について、デジタルアーカイブスを利用して調査を進めた。後者については、これらの団体との植民地との関係に焦点を絞り、文献と史料の収集を進めた。夏期休暇および春期休暇を利用したアメリカ合衆国での史料調査では、ハーバード大学のワイドナー図書館およびホートン稀覯書図書館、フィラデルフィア組合図書館で当該テーマに関する一次史料、二次文献、マイクロフィルムの調査・収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の進捗について(3)を選んだ理由として、博士論文の執筆と並行して研究を進めたために、当初予定していたペースで研究を進めることができなかったことが挙げられる。デジタルアーカイブスを利用した文献の調査・収集や合衆国での史料調査については予定通りに研究を進めることができた一方で、本年度の研究実施期間が2017年8月から2018年3月という短いものであったこともあり、研究成果を学会や研究会での報告や論文の執筆・投稿といった段階まで進めることはできなかった。また、予定していたイギリスへの調査旅行が来年度に予定変更せざるを得なかったことも、当初の計画の変更として進捗に影響した。これらの反省点を踏まえて次年度は研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は昨年度の遅れを取り戻すべく研究を進めていきたい。科研費で購入した各種文献、および調査旅行で収集した史料の分析を行いつつ、史料調査を合衆国およびイギリスで実施したい。特に、夏季休暇・春期休暇を利用して、昨年度訪れることができなかったBritish Libraryやその他の文書館での一次史料の調査・収集を行う予定である。その調査結果に基づいてイギリス工芸振興協会の植民地部門の北米植民地の開発ビジョンについての検討を進めていく。 また、研究成果の発表も積極的に進めていきたい。現在、日本アメリカ史学会の第70回例会(2018年7月28日予定)において研究報告を行うことが内定している。
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Research Products
(4 results)