2018 Fiscal Year Annual Research Report
Epistemological research on modern Copenhagen interpretation based on quantum information theory
Project/Area Number |
17H07100
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
杉尾 一 上智大学, 文学部, 助教 (50802419)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | 科学哲学 / 認識論 / 量子解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
科学哲学の立場から量子力学の認識論的問題について研究を行った。特に、弱測定と弱値について研究を行った。今年度の研究では、私たちの実在に関する概念と言語との関連性をもとに研究を進めた。アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼンらによるEPR論文(1935年)において、物理量の値は物理的実在の要素として解釈された。これは、古典論的な見方である。古典論において物理量と値は概念的に分離されていない。いわば、物理量は常に値を持つ。一方、量子論では、物理量の値は(固有状態を除き)定まっておらず、物理量と値は概念的に切り離されている。このようなことからも、物理量概念のレベルにおいて、量子論に反対するアインシュタインらと、量子論を支持するボーアらにおいて大きな隔たりがあったことがわかる。そこで本研究では、量子力学に内在する古典論との概念的差異、また、その差異から現れる概念的問題についての分析を行った。そして、量子論において実在概念を構成することが難しい理由として、古典論から量子論への拡張において緩めた諸概念を具体例を通して自然言語で意味付けできないことに起因することを明らかにした。 次に、前年度の研究を踏まえ、物理量を実在の要素とみなすのではなく、認識論的に捉え直す研究を行った。具体的には、観測可能量としての物理量を「私たちが観測する際の認識の枠組み」とし、この物理量に関する哲学的な洞察を数理的に表現した。このアプローチは、先の言語のレベル行った哲学的分析による結果を、数学的に表現することで、哲学的分析をより明確にさせたと言って良い。このようなアプローチをもとに、弱値を認識論的な物理量と解釈し、弱値を量子的対象を捉えるための新たな「認識の枠組み」の一つとみなす解釈を与えた。そして、弱値は実在を捉えているのではなく、あくまで、量子的対象を捉えるために人為的に構成された一つ概念と結論付けた。
|
Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)