2017 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物系バイオマスからの外部熱源不要な半炭化システムの開発
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17H07125
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
滝沢 憲治 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (10802671)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 半炭化 / バイオマス / 酸素供給 / 充填密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に使用する半炭化装置を作製した。最大300℃まで設定することができるオーブン内に密閉容器を取り付け,その容器下部からの流量制御された酸素供給および材料内部の温度測定を行えるように設計した。温度測定はオーブン内および容器内の2点とし,その温度差から容器内で行われる材料の昇温を確認できるようにした。また排ガス口を通じて半炭化中に生成されるガスの分析を行えるようにした。予算の都合上,材料重量の経時変化を見るための重量分析機器は取り付けないこととなった。 作製した半炭化装置を使用し,200℃でおが屑を用いて半炭化実験を行った。まず,酸素供給量を設定するために,流量計を用いて0.05-0.25 L/minの範囲で空気流量を変化させ,材料内の温度上昇を調べたが,温度上昇が確認できないことが分かった。そこで,流量を一定にし,材料の充填密度を変化させることとした。充填密度を100-250 kg/m3の範囲で変化させた結果,180 kg/m3以上で材料の昇温が確認された。また温度上昇の経時変化を調べたところ,実験開始後から雰囲気温度に達するまでの昇温時間は充填密度が高いほど長くなる傾向にあった。これは充填密度が高いほど体積比熱が高くなるため,雰囲気温度に達するまでの昇温が行われにくいためであると考えられる。しかし一方で,高い蓄熱効果により充填密度が高いほど,自己発熱による昇温速度は速いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度中に,酸化反応温度および材料内への酸素供給量の最適化を行う計画であったが,充填密度を考慮せず,通気量の検討を行ったところ,材料内の昇温が確認できなかった。そこで研究計画書に記述した通り,材料内への酸素供給および蓄熱効果を調整するため,原料の充填率を変化させることとした。そのために本年度の目標である温度および酸素供給量の最適化をまだ完了していないため,当初の計画よりもやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き,半炭化温度および酸素供給量がおが屑の半炭化に与える影響を検討する。また半炭化中に生成するガスについても検討を行う。 熱分解過程で生成される可燃性ガスとしては水素,一酸化炭素,メタン等が考えられる。これらは新たなエネルギーとして利用できる可能性がある。そこで生成ガスを燃焼させ,半炭化の予備熱として利用することを想定し,実験中に生成されるガスの組成および濃度を経時的に分析し,得られたガスの熱量を求める。 半炭化物を評価としては,半炭化物に対して元素分析や密度,発熱量等の分析を行い,市販品の炭化物と比較することにより行う。また比表面積分析による半炭化物の多孔性の分析やアンモニアガス等の吸着効果を調べることにより,吸着剤としての価値を判断する。半炭化のさらなる用途の開発,さらに炭素固定という観点からも検討・考察を行う。 これらの実験は三重大学へ異動し,学生が付いたことにより,促進されると思われる。また半炭化研究の第一人者である北海道大学岩渕和則教授に適宜,情報共有を行い,助言を頂くことで,この研究テーマの目標に向けてより一層推進していきたい。
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