2017 Fiscal Year Annual Research Report
Verified numerical computation for solutions to partial differential equations describing reaction diffusion models
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17H07188
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 一成 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (00801226)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 精度保証付き数値計算 / 偏微分方程式 / 計算機援用証明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は以下の反応拡散モデル∂u/∂t(t,x) = △u(t,x)+f(x,u(t,x)), t∈(0,∞), x∈Ω (1)に対する精度保証付き数値計算法を開発することである。特に(1)の定常問題を対象とし、その正値解を数学的に厳密な意味で数値的に包含する手法を開発することを目的としている。本研究では以下の3つの手順で対象とする偏微分方程式の正値解の精度保証付き数値計算を行う。 手順1: 近似解wを求める 手順2: 手順1で得た十分に精度の良い近似解wの近傍に真の解uが存在することを示す 手順3: 手順2でwの近傍に存在することが保証されたuの正値性を確認する 上記手順を成功させるには手順1で十分に精度の良い近似解を求める必要があり、これは汎用的な数値計算ツールでは成し得ない。そこで本年度は近似解を構成するにあたり計算効率の良い基底関数の選定、および計算コストをできるだけ下げつつ手順2、3を遂行できる計算精度に関する事前準備を行った。結果としてルジャンドル基底(多項式をグラムシュミット法で直交化した基底)で近似解を構成し、計算の一部分にMPFRを用いた高精度計算を用いることによって所望の計算精度が達成できることを示した。一度、高精度計算を用いてガウス・ルジャンドル積分公式で必要となる分点を計算し、後の計算には疑似4倍精度区間演算もしくは倍精度区間演算を用いることで計算時間を短縮した。アレン・カーン方程式をはじめとしたいくつかの例で、上記手順1、2が十分な精度で達成できることを示し、その計算精度で手順3が成功することを理論的に裏付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究を手順3の正値性検証を成功させるための事前準備と位置づけ、十分に精度の良い近似解を効率よく求める手法の開発を目標としていた。 ルジャンドル多項式で近似解を構成し、計算の一部分にMPFRを用いた高精度計算を用いることによって効率的に所望の計算精度を達成できることを示した。具体的には近似解の各成分を疑似4倍精度で格納し、離散化された方程式をニュートン法または簡易ニュートン法を用いて解くことにより、残差のノルムを倍精度の限界である10の-16乗程度まで小さく評価することが可能となった。同時に近似解と真の解との誤差上限も、特異摂動されたアレン・カーン方程式の場合で、10の-10乗程度と汎用手法と比べても極めて精度良く評価することができている。 本年度の研究により手順1、2を所望の精度で高速に行う手法が確立されていることから本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で得た精度の良い近似解wに対して、そのwの近傍に存在することが保証された真の解uの正値性を確認する手法を確立する。そのためにNodal Setsと呼ばれる解の同符号領域に着目する。楕円型作用素の固有値評価理論に基づき、解uのNodal Setsの個数の上限を保証し、その個数上限が1であれば、あとはu(x)>0となる点が少なくとも1点存在することを示すことにより真の解uの正値性を証明できる。 そのためには真の解uがどような楕円型作用素の固有関数とみなせるかがポイントとなる。この点を明らかにすべく次年度以降の研究を推進する。
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Research Products
(10 results)