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2017 Fiscal Year Annual Research Report

LHCにおける標準模型を超える新物理のための高速飛跡再構成システムの開発及び運用

Research Project

Project/Area Number 17H07189
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

森永 真央  早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員 (10803231)

Project Period (FY) 2017-08-25 – 2019-03-31
Keywordsトリガーシステム
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題の目的は、LHCの高輝度化アップグレードに伴うATLAS実験トリガーシステムの改良を通した新しい物理現象の発見である。
高輝度化に伴い本来興味のないパイルアップ事象の頻度は増大し、興味のある信号事象の検出を阻害しトリガー条件を厳しくする。この様なパイルアップ事象は反応衝突点を再構成することによって影響を抑えることが可能である。反応衝突点の再構成には荷電粒子の飛跡を用いる。現在のトリガーシステムでは、飛跡の再構成は限られた領域でのみ行われており、パイルアップ事象の衝突点は再構成できない。そもそも飛跡の再構成には検出器からのヒット情報を読み出し飛跡候補となる複数のヒット情報を集めるシード探索と、飛跡候補からフィッティングを行い飛跡パラメータを決定するトラックフィットの2段階からなる。現在のトリガーシステムでは、ソフトウェアで行うため再構成に時間がかかり 1kHzというトリガーレート要求を満たせない。本研究課題では、ハードウェアを用いて高速に全領域の飛跡を再構成するシステム(FTK)の開発・運用と、さらなる改良に向けた原理検証を行う。昨年度は、主にFTKの検出器からのデータ受信部であるInput Mezzanineの書き換え可能な論理回路であるファームウェアの安定化に関する研究を行った。ここでは、現地ジュネーブにおいて細かな検証と修正を繰り返しファームウェアの安定化を目指した。その結果、それまでの連続運用時間の限界を大幅に更新し、FTKの動作検証作業の効率化につながった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度は本研究課題の初年度にあたり、ATLAS実験での導入準備が進むFTKの運用に関する研究を行った。
FTKの受信部モジュールであるInput Mezzanineは、異なる3種類の飛跡検出器からの情報を受けとり、ヒット情報をクラスタリングを行い後段のモジュールへと送信する役割を担う。ATLAS実験計画当初ではFTKの運用は考慮されておらず、各飛跡検出器の情報はソフトウェアを用いて読み出し処理されることを想定していた。そのため、書き換え可能な電子回路を記述するファームウェア上での処理は比較的困難である。Input Mezzanineでは、これらの3種類の異なるデータ・フォーマットを同時に処理しなければならず、ファームウェアでの実装は複雑になる。加えて、検出器の状態によるエラー・例外処理を行う必要があり、データフローの安定化が大きな問題となっていた。
米スタンフォード大の研究者やSLAC国立加速器研究所のエンジニア等と議論を重ね、ボトルネックとなっていた箇所を特定し修正を繰り返した。その結果、Input Mezzanineにおけるデータフローの安定化という第一目標を達成した。
昨年度までの研究で、データフローの安定化という目標は達成し、FTKシステム全体の安定化に向けた研究の効率化に貢献した。また、モジュールはソフトウェアで管理・制御される。このソフトウェアについても、冗長な処理にたいしてより効率的な方法への改善を行った。その結果、ATLAS実験で要求される基準をクリアし、ATLAS検出器システムの一部として組み入れ実験データを取得できるに至った。

Strategy for Future Research Activity

昨年度の研究において、データフローの安定化にはめどがたった。今後は、ファームウェア使用率の削減や、データフローレイテンシーの改善、クラスタリング精度の向上などが挙げられる。
ファームウェア使用率の削減について、これまではデータフロー安定化のために冗長な処理を行っていた。そのため、本来個々のFPGAが持つリソース限度ぎりぎりまで使用していた。このためファームウェアの生成に時間を要することが多々あった。今年度は、ファームウェア構成の変更を行いリソース使用の効率化を行っていく。データフローレイテンシーの改善についても、冗長な処理の効率化を行う。
また、クラスタリングの精度向上について、データフロー安定化のために処理を省いた部分の実装を行う。これは現在もちいていない検出器の情報を使用するため、クラスタリング精度の大幅な改善が期待できる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018 2017

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] LHC-ATLAS 実験における高速飛跡トリガー (FTK) の初期データ解析と本格運転へ の展望2018

    • Author(s)
      森永真央, 籾山慶輔, 飯澤知弥, 奥村健人, 植原靖裕, 木村直樹, 寄田浩平
    • Organizer
      日本物理学会 第73回年次大会
  • [Presentation] LHC-ATLAS実験における高速飛跡トリガー(FTK)の初期データ解析と本格運転への展望2017

    • Author(s)
      森永真央, 飯澤知弥, 上田春来, 加地俊瑛, 木村直樹, 三谷貴志, 籾山慶輔, 森永真央, 寄田浩平飯澤知弥, 上田春来, 加地俊瑛, 木村直樹, 三谷貴志, 籾山慶輔, 寄田浩平
    • Organizer
      日本物理学会 2017年秋季大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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