2017 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校の英語教員支援のためのアクティブラーニング研修動画プログラムと指導案開発
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17H07248
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
生駒 万貴 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (50801883)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 高等学校の英語教員 / アクティブラーニング / 大学英語教育 / 教員支援 / 研修プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年高等学校の英語教育では、アクティブラーニング(AL)の手法を駆使し、生徒の自律的な思考力・発信力を育成できる指導者の養成が急務であるが、その効果的な指導法が十分共有されているとは言い難い。本研究の目的は、比較的AL型英語教育に実績のある大学英語教育における指導実践を調査し、その分析から得られた指導の知見を基に、高等学校英語教員のためのAL指導のプログラムを作成、オンラインで無料公開することである。
平成29年度前半は、ALの先行研究・関連資料を収集し、プログラム作成の基礎となるデータ収集・分析方法を検討する作業を行った。その結果、ALに関する書籍や実践事例の報告が近年増加傾向にある一方で、現場では未だ多くの教員がALの定義、手法、その教育効果や実際に想定される問題が分からず実施に対して不安を感じている現状が示された。こうした状況下にある教員を支援するためには、成功事例だけでなく英語教育の文脈において実際に起こり得るALの問題や難しさを実践的観点から整理し可視化することが重要だと考え、当初の計画を見直し調査票を作成した。
後半は、大学英語教育でAL実践に携わる教員を中心に調査を実施し、その分析を進めた。分析の結果、英語の授業全般において「学習者の語学力」及び「ALに対する学習者の態度や意欲」が学習過程や成果に大きな影響を与える傾向があるとして、AL実践の際の主な障壁となる可能性が示唆された。スピーキングやライティング等の能動的技能を伸ばす場面に特有的なALの問題・難しさとしては、「評価方法」「フィードバックの回数・方法」「英語以外の課題」「指導時間の確保」「機械翻訳の使用」が主に抽出された。一方リーディングやリスニング等の受動的技能を伸ばす場面では、ALをどこまで活用できるか懐疑的な意見が多く見受けられ、能動的技能を伸ばす場面と比べ実践の数自体が少ないという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英語教育でALに携わる教員の指導実践、特にAL実践に伴う問題・難しさを実践的観点から整理するにあたり、調査では質的データを比較的多く扱う必要があり、その集計及び分析に時間を要したため、計画していたプログラムのプロトタイプ作成までは進めなかった。しかし、当初予定していたよりも多くの回答が得られ、豊富なデータを収集出来たこと、またALの関連学会への参加を通じて、学習指導要領の改訂や今後の高大連携の在り方に関して多くの知見を得られたことから、今後の方向性(次年度の追加的な聞き取り調査及びプログラムの内容や構成)も見えてきた。また今年度行った研究の学会発表の準備にも取り掛かれているため、当初の計画から変更点はあったものの、おおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度収集したAL実践に関する実態調査のデータを基に、追加的な聞き取り調査を行い、高等学校の英語教員のためのAL指導のプログラムのプロトタイプを作成する。多様な学力層の高等学校で教える現職教員にヒアリングを行い、得られたフィードバックを基に作成したプロトタイプに加筆修正を行い、より現場に則したプログラムを完成させ無料公開することを目指す。またプログラムを作成する過程において、本研究の成果を国内外の学会で発表する準備を進める。
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