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2017 Fiscal Year Annual Research Report

すばる望遠鏡で探る宇宙の構造形成過程への観測的制限

Research Project

Project/Area Number 17H07325
Research InstitutionKindai University

Principal Investigator

石川 将吾  近畿大学, 理工学部, 博士研究員 (40807385)

Project Period (FY) 2017-08-25 – 2019-03-31
Keywords宇宙物理学 / 天文学 / 観測的宇宙論 / ダークマター / ダークエネルギー / すばる望遠鏡 / 宇宙の大規模構造 / バリオン音響振動
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、ダークマターとダークエネルギーという謎に包まれた宇宙の暗黒成分の観測を通して、現代天文学の最大の謎となっている宇宙の構造形成が宇宙年齢とともにどのように進行したのかを観測的に明らかにすることを目的とする。これを達成するには宇宙の各時代において大規模銀河サンプルを構築する必要があり、これまでは低赤方偏移での研究に限定されていた。だが現在すばる望遠鏡で精力的に行われている、超広視野撮像カメラによる大規模かつ系統的な宇宙探査計画(HSCサーベイ)により、遠方宇宙にいたるまで銀河の物理的性質を含む過去最大の大規模銀河サンプルの構築が可能となった。本研究ではこの大規模銀河サンプルに基づき、I) 宇宙の大規模構造の形成過程、およびII) 銀河進化の素過程、に対して、従来の研究よりも高精度かつより遠方宇宙に及ぶまで観測的に制限を与えることで研究目的を達成する。
本年度はHSCサーベイのデータを用いて大規模銀河サンプルの構築を行なった。この銀河カタログ作成は本研究計画における最も基本的かつ重要な工程であり、次年度以降に正確な科学的成果を得るために慎重に行う必要があった。特にHSCサーベイは探査面積が非常に広大であるため、データのクオリティが観測領域ごとにばらつきがある。本研究はいわば精密宇宙論と形容できるほどの緻密な統計処理やデータ解析を行うため、最終的に得られる結果に影響を及ぼさないデータのクオリティレベルを模索し、可能な限り最大限の規模でサンプル構築を行なった。
この銀河カタログ作成と並行して、赤方偏移3から5までの遠方宇宙における銀河とダークマターハローの関係について議論した関連研究について論文出版を行なった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

HSCサーベイによるデータを用いた過去最大の大規模銀河カタログの作成が本年度中に完了した。これにより、次年度以降は本銀河カタログを用いて科学成果をあげることに集中することができる。だが、HSCサーベイは本来の観測計画よりも遅れが生じているため、最新のデータが公開されるたびに本研究の銀河カタログを随時更新してゆく必要がある。
また銀河カタログの作成が年度内に完了したため、これを用いて赤方偏移0.3から1.4までの近傍宇宙に存在する銀河のバリオン進化と銀河を取り巻くダークマターの塊(ダークマターハロー)の進化の関連性を詳細に探る研究を遂行した。この研究では申請者がこれまでに行ってきた赤方偏移1.4以上の遠方宇宙における研究手法を応用することで、詳細な銀河進化を探るうえで最後のピースである赤方偏移1.4以下の宇宙で銀河とダークマターハローの共進化の様子について解き明かすことを目指している。HSCサーベイは進行途中であるため最終的な銀河カタログが完成していないが、それにも関わらずおよそ4,000,000天体にもおよぶ銀河サンプルの選択に成功し、これらを用いて極めて精密な銀河のクラスタリング解析を現在進めている。本研究の途中経過は北海道大学で開催された日本天文学会・秋季年会において口頭発表により報告した。本年度においてある程度の科学的成果が得られたため、現在これらの成果を報告するため結果を論文にまとめており、まもなく学術雑誌へ投稿する予定である。

Strategy for Future Research Activity

まずは現在進めている、赤方偏移0.3から1.4までの近傍宇宙における銀河とそれらをとりまくダークマターハローの共進化の様子について調べた研究成果を学術論文で発表することを目指す。その後、同様の銀河サンプルを用いて赤方偏移0.3から1.4まで銀河サンプルを宇宙年齢で分割し、宇宙の各時代においてバリオン音響振動のシグナルを検出することを目標とする。銀河カタログについてはすでに完成しているが、今後新たにHSCサーベイのデータが公開されたあかつきにはそれらのデータを用いて現状の銀河カタログを更新する。これにより銀河サンプル数が飛躍的に増加し、より高い統計精度でバリオン音響振動のピークを捉えることで宇宙の膨張史やダークエネルギーの観測的性質を詳細に明らかにすることが可能となる。ただし、バリオン音響振動のシグナルを捉えるためには極めて広い一続きの領域を撮像観測する必要があるため、現状のデータで成果報告を行うか、あるいはHSCサーベイが進みより高い信頼度で科学成果が得られたのちに発表するかを慎重に見極める必要がある。
同時に、HSCサーベイで進められている深宇宙探査計画(HSC Deepサーベイ)のデータも用いることで、より遠方宇宙まで銀河とダークマターハローの共進化を探る研究に着手する。HSC Deepサーベイは国内外の大型サーベイの公開データと組み合わせることで非常に広い波長範囲のデータを揃えることができ、これらを活用することによって赤方偏移3まで無バイアスに銀河を選択することが可能となる。この研究も推進することにより、銀河のバリオン進化とダークマターの密度揺らぎ進化の関連性を幅広い宇宙年齢に渡り解明することを目指す。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] The Galaxy?Halo Connection in High-redshift Universe: Details and Evolution of Stellar-to-halo Mass Ratios of Lyman Break Galaxies on CFHTLS Deep Fields2017

    • Author(s)
      Ishikawa Shogo、Kashikawa Nobunari、Toshikawa Jun、Tanaka Masayuki、Hamana Takashi、Niino Yuu、Ichikawa Kohei、Uchiyama Hisakazu
    • Journal Title

      The Astrophysical Journal

      Volume: 841 Pages: 8~8

    • DOI

      10.3847/1538-4357/aa6d64

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] The Galaxy-Halo Connection in High-redshift Universe2017

    • Author(s)
      石川将吾
    • Organizer
      日本天文学会
  • [Presentation] The Galaxy-Halo Connection Across Cosmic History2017

    • Author(s)
      石川将吾
    • Organizer
      銀河進化研究会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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