• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2017 Fiscal Year Annual Research Report

バーコーディング系譜解析による精子幹細胞が選抜される過程の解明

Research Project

Project/Area Number 17H07335
Research InstitutionNational Institute for Basic Biology

Principal Investigator

池田 達郎  基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 特別協力研究員 (60803963)

Project Period (FY) 2017-08-25 – 2019-03-31
Keywordsマウス / 発生 / 始原生殖細胞 / 精子幹細胞 / 細胞系譜 / バーコーディング
Outline of Annual Research Achievements

マウス胚の始原生殖細胞(PGC)は発生過程で数千~数万個まで増殖するが、雄ではそのうちほんの一部の細胞のみが選抜され、成体の精子幹細胞になることが示唆されている。本研究ではこの可能性を、細胞ごとに異なるDNA配列をゲノム中に導入して細胞系譜を追跡する遺伝子バーコーディング法を用いて検証する。
本研究ではCre recombinase依存的にバーコーディングを誘導できるマウスを用いる。そのため、PGC特異的に発現するTamoxifen誘導型Creを用いることでPGCのみを任意のタイミングでバーコーディングすることができる。その後まるごと精巣からDNAを精製しバーコードの次世代シーケンシングをおこない、組み変わったバーコードのみに注目することで生殖細胞の系譜情報のみを選択して解析することができる。
バーコーディングマウスとCreマウスを交配し、妊娠中のマウスにTamoxifenを投与することで、胎児PGCにおいてバーコーディングを誘導した。当初はまず胎児期の精巣でバーコーディングを評価する計画だったが、出生・性成熟し生殖細胞が増加した時期の方がバーコーディング効率の評価が容易であることがわかった。実際に性成熟後の精巣DNAのバーコードをPCR増幅することで、バーコーディングが誘導されたことを示す短いバーコードDNAの増幅が確認された。この増幅産物を用いてバーコード配列の次世代シーケンシングを現在進行中である。
しかしながら、当初用いていたCre系統は初期胚で非特異的なバーコードの組み換えを引き起こしてしまうことが判明した。そのため、代替のCre系統を新たに2種類検討している。1つは所属研究室で保有しており、このCre系統では初期胚で非特異的なバーコードの組み換えがほぼ生じないことを確認済みである。この系統ではPGCの発生初期ではバーコーディングを誘導することができないため、それを可能とするもう1つのCre系統を現在作成中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

バーコーディングマウスの授受が当初の予定より遅れてしまったこと、用いていたCre系統で初期胚における非特異的なバーコードの組換えが起こってしまったことなど、当初の計画通りに進まない部分もあった。一方で、第一回目のバーコードの次世代シーケンシングが現在進行中であり、シーケンシング後のバーコードの情報学的解析のパイプラインは共同研究者とやり取りしてすでに構築済みである。そのため、PGCがどの程度の規模で選抜されるのかは近く明らかになると期待される。
代替のCre系統のうち所属研究室がすでに所有するものは、生殖細胞特異的な組み換えでとても実績があり、なおかつ初期胚で非特異的なバーコードの組換えがほぼ起こらないことを確認している。このため、このCreを用いたバーコーディングにより系譜解析が進むと確信している。このCreを用いて胎児期にバーコーディングを誘導した雄マウスをすでに得ており、間もなく精巣を取得しバーコードを解析できる段階に至っている。
もう1系統のCreマウスも、PGC特異的なレポーター遺伝子の発現で実績のある細菌人工染色体(BAC)を入手して作成が進行しており、このCreで初期PGCのバーコーディングが可能になるに違いない。
以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

所属研究室のCre系統を用いて様々な発生段階で胎児PGCをバーコーディングし、性成熟後の精巣に含まれるバーコードを解析することで、精子幹細胞が選抜される発生段階および選抜の規模を見いだす。その後、胎児から出生・性成熟に至るまでの異なる時期で精巣に含まれるバーコードを解析することで、選抜された精子の優勢化がどのように進行するのかを明らかにする。
また、もう一つの代替Creマウスの作成を進行する。マウスが完成したら、初期PGCにおいてバーコーディングが誘導できるか検証する。バーコーディングが誘導できたら、性成熟後の精巣に含まれるバーコードを解析する。2つのCre系統の実験結果を照らし合わせて、精子幹細胞が選抜される時期を詳細に分析する。

URL: 

Published: 2018-12-17  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi