2018 Fiscal Year Annual Research Report
The historical reconstruction of customary legal order in the ottonian Germany and northern Italy
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17J00145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 隆功 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 神聖ローマ帝国 / イタリア王国 / 法 / 証書 / 教会会議 / 司教 / 裁判官 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の研究ではその意義を積極的に評価されてこなかった、10世紀ドイツ・北イタリアにおける統治行為の性質を再評価することを目指すものである。とりわけ、立法や証書発給など文字と規範に関わる領域に関して、王や聖職者などの政治指導層がどのような活動を行ってきたのかを解明することで、非文字的な政治的行動と慣習的な法文化に支配されていたとする既存の理解を相対化し、研究蓄積の厚い9世紀までの統治行為と11世紀以降の法文化の間を埋めることを目的とする。 そのために、今年度はまず比較対象となりうる9世紀後半(カロリング朝後期)の文書発給活動と立法活動を調査した。加えて、オットー朝期に作成された世俗向けの立法成果物と教会会議決議文の概要を整理した。 それを踏まえて、10世紀前半に王による成文規範や証書の作成が低調となることと、一方でこの時期でも証書発給の形態はそれ以前のものをよく踏襲していること、および、聖職者らによって教会会議が開催され決議文が作成され続けたことを確認し、これらを照らし合わせ、文字や規範に関する領域における諸要素が聖職者によって維持された可能性を示した。 また、先行研究で当時はそれ以前の法令が複写され続けることが指摘されており、上記の調査結果と合わせて、951年の法令発布の背景にこうして世紀前半の間に維持された文字や規範に関する文化があったことを考察した。 そして、アルプス以北のこうした動きがイタリア遠征を受けてアルプス以南の文字文化・法文化と接触したことが、昨年度見たような世紀後半の立法活動の背景にあることを示唆した。これについては最終的な結論は得られていないため、今後、王の活動・イタリア王国という枠組み・イタリア在地社会の3者の相互関係に注目することで最終的な研究目的を達成するものとする。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)