2018 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの回避行動に焦点化した学校での不安・抑うつ・怒りの診断横断的介入の検討
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17J00307
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岸田 広平 同志社大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 児童青年 / 不安症 / 抑うつ障害 / 診断横断的介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、児童青年の不安症と抑うつ障害に対する回避行動に焦点化した診断横断的介入を実施し、有効性、有用性、作用機序を検討することであった。本年度は、下記のように基礎研究と介入研究を実施した。 まず、基礎研究の結果を下記に示す。本年度は、児童青年の快活動を測定することのできる子ども用快活動尺度 (CPAS) を開発し、信頼性と妥当性の検討を行った。児童331名に対する調査を実施した結果、いくつかの限界はあるものの、 CPASの信頼性と妥当性が確認された。続いて、項目反応理論を用いて検討した結果、CPASは平均的に快活動に従事しているものに対して高い測定精度を有する尺度であることが示唆された。 次に、介入研究の結果を下記に示す。昨年度に、児童青年の不安症と抑うつ障害に対する「回避行動に焦点化した診断横断的介入プログラム (ATP)」を作成し、オープン試験を実施した。本年度は、当該試験に関する論文投稿を行い、その結果が「認知行動療法研究」に採択された。続いて、本年度は、上記のプログラムを用いて、児童青年の不安症と抑うつ障害に対するランダム化比較試験を実施した。プログラムは全6回から構成され、第1回は感情の心理教育、第2回は機能的アセスメント、第3回は回避行動の同定、第4回は回避場面階層表の作成、第5回は回避行動への挑戦、第6回は振り返りと目標の設定であった。介入の割付については、独立割付者を設定し、包含基準に合致した児童16名を介入群と待機群に割り付けた。アセスメントについては、独立評定者を設定し、臨床家評定、自己評定、親評定の3つの観点から包括的にアセスメントを行った。現在、当該の試験は、プレアセスメント、プログラムの実施、ポストアセスメントまでが終了し、フォローアップアセスメントを継続して実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別研究員(DC1)岸田広平は、申請された研究計画に関する基礎研究および介入研究について、データの収集、分析、論文執筆を順調に進めている。本年度は、基礎研究(子ども用快活動尺度の作成および信頼性と妥当性の検討)が査読付き学術雑誌である「認知行動療法研究」に採択され掲載が決まっている。次に、介入研究(児童青年の不安症と抑うつ障害に対する回避行動に焦点化した診断横断的介入プログラムの予備的検討)についても、「認知行動療法研究」に採択され掲載が決まっている。加えて、現在、上記の研究に基づくランダム化比較試験を継続的に実施しており、研究・臨床ともに積極的に活動を行っていると言える。さらに、本年度は、国内外(岐阜、マレーシア、アメリカ)で開催された学術会議に出向き、精力的に研究発表を行った。以上を踏まえ、平成30年度における研究進捗状況は全体的に見て期待通り研究が進展したと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、2018年度より開始したランダム化比較試験が継続実施中である。2019年4月において、プレアセスメントおよびポストアセスメントは終了している。今後、当該試験のフォローアップアセスメントを実施し、当初の予定通り研究計画が完遂する予定である。
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Research Products
(2 results)