2017 Fiscal Year Annual Research Report
全光信号処理のための超小型全光ダイオードの実現に向けた研究
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17J00378
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 孝憲 北海道大学, 大学院情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 全光ダイオード / フォトニック結晶 / 光集積回路 / シリコンフォトニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
光通信機器における信号処理を全て光信号で行う「全光信号処理」を実現する全光デバイスは、デバイスの消費電力を3桁程度削減可能であるものとして期待されている。これまで、2010年には全光スイッチ、2012年には全光メモリが実験的に確認されたことで,世界的な注目を集めてきたが、光整流ダイオード(全光ダイオード)については、順方向透過率や整流特性、波長特性が乏しく、未だ実現が困難な状況である。そこで本研究では、優れた整流特性および高い実現可能性を有する全光ダイオードを設計開発することを目的として、フォトニック結晶共振器を用いたシリコン全光ダイオードの研究を進めてきた。本年度は、1年目の研究実施計画にしたがって、全光ダイオードの構成要素であるフォトニック結晶光共振器の基本特性を調査するとともに、全光ダイオードの設計を行ってきた。 これまで、サイドカップル型フォトニック結晶光共振器を多段にカスケード接続したタイプ、1次元フォトニック結晶結合共振器型光導波路を用いたタイプ、ならびに、1ポート共振器と4ポート共振器を組み合わせたタイプの、全3種類のデバイスを新規に設計し、従来報告されてきた全光ダイオードと比較して、より実現性の高く、高い透過特性および整流特性を有するダイオードが実現可能であることを理論的に確認した。 以上の研究成果については、既に査読付き国際学術論文誌に1件採録されており、1件の国内学会におけるポスター発表、ならびに、1件の国際会議における口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全光ダイオードの理論設計を行った結果、優れた整流特性および高い実現可能性を有する3種類の全光ダイオードが新規提案された。(1)まず、サイドカップル型フォトニック結晶光共振器を多段にカスケード接続し、各共振器の配置を適切に制御することで、順方向透過特性を損なうことなく、高い整流特性を得られることが明らかとなった。(2)次に、光バンド内遷移に基づく、1次元フォトニック結晶結合共振器型光導波路を用いた全光ダイオードを新規に設計したところ、簡易な構成で整流特性が得られることが理論的に確認された。(3)さらに、1ポート共振器と4ポート共振器を組み合わせた全光ダイオードについても検討したところ、広帯域な整流特性が得られることがが理論的に確認された。これらの全光ダイオードのうち、(1)のデバイスについては、CMOSファウンダリを用いたデバイス試作段階に入ったところである。 以上より、全光ダイオードの理論設計が滞りなく進められ、デバイス試作についても進行中であることから、本研究は当初の計画通り、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、フォトニック結晶の基本特性調査、および、3種類の全光ダイオード設計については既に終えている。今後は、1次元フォトニック結晶結合共振器型光導波路を用いた全光ダイオードに関する研究成果、および、1ポート共振器と4ポート共振器を組み合わせた全光ダイオードに関する研究成果を、国内外の学会・学術誌等で報告していく。また、サイドカップル型フォトニック結晶光共振器を用いた全光ダイオードについては、現在試作中のデバイスが完成次第、本年度中にデバイス実験測定を行い、その結果について報告していく。
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Research Products
(3 results)