2017 Fiscal Year Annual Research Report
秘密計算において,ゲノムデータを用いた複数な検定のアウトソーシング計算基盤
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17J00450
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
陸 文杰 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ニューラルネットワーク / 秘密計算 / 大小比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は二つの方法で研究を進めた。一つ目はニューラルネットワークに対する秘密計算である。結果から述べると、既存手法の計算時間と通信コストを90% 程度を削減することができた。具体的に完全準同型暗号における新たなパッキング法(Double Packing)を提案し、高速かつ低通信コストで行列積を評価する秘密計算プロトコルを提案した。行列積は非常に基礎的な計算であり、ニューラルネットワーク以外の秘密計算への適応が期待できる。この結果はコンピュータセキュリティシンポジウム(CSS2017)で発表し優秀学生論文賞を受賞した。現在は国際会議USENIX2018に投稿中である。
二つ目は「大小比較」の秘密計算である。大小比較は検定や分類問題で利用される重要な要素技術である。しかし既存の「大小比較」の秘密計算手法のほとんどは主体間の対話を要する。非対話型の大小比較法も存在するが、「暗号文同士」の大小比較をサポートしない。従って既存の大小比較の秘密計算手法はアウトソーシングへ適用することができない。我々はRing Learning with Errorsベースな準同型暗号の元に新たな大小比較の秘密計算プロトコルを開発した。我々のプロトコルは非対話でもあり暗号同士間の大小比較もサポートできる。 以下に、提案したプロトコルを必要とする二つのアプリケーションを上げる。一つ目は「アウトソーシングにおける決定木の秘密計算」である。提案の大小比較プロトコルは暗号同士間の比較もサポートするため、決定木の秘密計算による評価を非対話的にアウトソーシングすることが可能である。500ノード程度の決定木の秘密計算を60秒内(既存の対話的な方法より5倍程度のオーバヘッド)で終わらせることができることを実験で確認した。国際会議 AsiaCCS 2018に採択され2018年6月に発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一つとして高速に multiplication triple の作成方法を提案した。既存手法の約9割の通信コストと計算時間を削減することができた。この研究成果はニューラルネットワークの秘密計算において非常に有用であり、行列積が必要となる他の機械学習アルゴリズムにおいても有用である。
二つ目の研究成果は暗号文同士間の大小比較を行うプロトコルである。例えば、決定木やU統計量の計算などにおいて平文を一切開示せずに暗号化したままサーバーに計算させることも可能である。この結果は国際会議ASIACCS2018 に採択された(採択率20%)。
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Strategy for Future Research Activity |
1.音声データなどの時系列データを使うニューラルネットワークの秘密計算をフォーカスする。具体的に二つ方向で研究を進める。一つ目はセキュアーなマトリクス積プロトコルの高速化。二つ目は sigmoid やrelu などの非線形関数に対して前処理できる特殊な triple を開発することである。この二つ成果のよって高速的かつ秘密的に recurrent network を評価することが期待できる。
2.ブロックチェーン技術と秘密計算技術の連携。秘密計算の計算結果の正確さや計算の audition を行うため、秘密計算技術をブロックチェーンと連携する。ブロックチェーン上のデータを使う秘密計算はデータの改竄や悪意的な削除を防げるので、秘密計算の正確さを保証できる。
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