2017 Fiscal Year Annual Research Report
表面ナノ構造に基づく超親水・超撥水金属材料の創製と高反射エネルギー材料への応用
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17J00478
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中島 大希 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | アルミニウム / アノード酸化 / ナノファイバー / 超親水 / 超撥水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は金属を電解質中に浸漬して陽極に分極(アノード酸化)することにより,金属表面に特異なナノ構造を形成し,その表面ナノ構造に基づいた表面の濡れ性およびその応用を検討するものである.本年度はアルミニウムのピロリン酸アノード酸化によって生成する表面ナノ構造と発現する濡れ性について検討した. 高純度アルミニウムを濃ピロリン酸中に浸漬し,アノード酸化を行なうと,アルミニウム上にアルミナナノファイバーが大量生成する.アルミナナノファイバーが生成することによって表面に形作られる表面ナノ構造はアノード条件に強く依存しており,アノード酸化電圧が高い場合には,点状に寄り集まった構造体を形成した.一方,アノード酸化電圧が低い場合には線状に寄り集まった構造体を形成した.このようなナノファイバー形成表面は超親水性を発現する. ナノファイバー形成表面を疎水性の自己組織化単分子膜(SAM)で修飾することにより,アルミニウム表面の超撥水化を検討した.SAM形成には直鎖状のアルキルホスホン酸を単分子膜形成の化学種として用い,主鎖のメチレン基の数を適宜変更することで,分子長が撥水性に与える影響を検討した.平滑なアルミニウム試料表面にSAMを形成した場合には,分子を構成する炭素数が14のときに発現する撥水性が最も高くなった.ピロリン酸アノード酸化によりナノファイバーを形成したアルミニウム表面に同様のSAM修飾をおこなうと,撥水性は大きく向上し,水滴接触角が160°を超える超撥水性が発現した.長時間のアノード酸化による倒伏したナノファイバー形成表面では,撥水性が若干低下した. 以上,ピロリン酸アノード酸化とSAM修飾を組み合わせることにより,超親水表面から超撥水表面までアルミニウム表面の濡れ性を幅広く制御できることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載の通り,アルミニウムのピロリン酸アノード酸化によって表面ナノ構造を制御し,超親水性および超撥水性の発現が確認できたため,おおむね順調であると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をさらに発展し,超親水性・超撥水性の発現メカニズムについて,より詳細な検討を行なう予定である.
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Research Products
(7 results)