2019 Fiscal Year Annual Research Report
Formation of the "Literature of Fact": Development of the Literary Avant-garde of the Latter Period
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17J00586
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
古宮 路子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ロシア・アヴァンギャルド / ファクトの文学 / レフ / マルクス主義美学 / 文学理論 / ロシア文学史 / プロレタリア作家 / 生成研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には、ファクトの文学が展開される背景となったポスト革命期のソ連文学の状況について、文壇での論争や検閲の問題等に着目しつつ研究を行った。 口頭報告「ファクトの文学のドキュメンタリー性と1920年代のメディア環境(ロシア語)」では、ファクトの文学が、文学中心主義の伝統の強いロシアにおいて、外部のジャンルの影響を受け入れつつ成立したことを明らかにした。特に、当初は映画を理論モデルとしていたこの文学が、やがて新聞志向へと移行したプロセスを検証した。論文「映画から新聞へ――セルゲイ・トレチヤコフとファクトの文学」は、この報告を書き改めたものである。 口頭報告「生活認識の芸術か、生活建設の芸術か?A. ヴォロンスキーとファクトの文学における現実性の問題(ロシア語)」では、「峠」派の指導者A.ヴォロンスキーの唱えた「生活認識の芸術」と、レフが提唱しファクトの文学の骨子となった「生活建設の芸術」の間で展開された論争のプロセスを辿り、両者がともにマルクス思想を前提としながらも、前者がレーニンやプレハーノフの正統マルクス主義に拠ってたつのに対し、後者はむしろマッハ主義色の濃い経験批判論を唱えたボグダーノフに近いことを指摘した。 口頭報告「1920年代文学闘争におけるリアリズムと心理主義――レフとラップ(ロシア語)」は、1920年代のソ連文壇で熾烈な議論が闘わされたテーマの1つであるリアリズムと心理主義の問題について、主要なグループであるレフ、プロレタリア作家組織、「峠」派それぞれの立場と理論形成、議論の展開を論じたものである。 論文「書きかえられた結末:ポスト革命期の検閲によるYu.K.オレーシャの戯曲『感情の陰謀』の変更(ロシア語)」では、作家Yu.オレーシャの執筆した戯曲『感情の陰謀』が舞台化された際の検閲について、生成研究の方法により、アーカイヴ資料を駆使しつつ論じた。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)