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2017 Fiscal Year Annual Research Report

Phonological Characteristics of Modern Japanese in the process of Abbreviation of Loanword Compounds

Research Project

Project/Area Number 17J00611
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

文 昶允  筑波大学, 人文社会科学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2017-04-26 – 2019-03-31
Keywords短縮語形成のメカニズム / 世代差 / OCP制約
Outline of Annual Research Achievements

本研究における1年目の成果は,次の2点にまとめられる。
1.短縮現象に影響する言語外的要因のひとつとして,言語運用者の世代による影響を明らかにしたこと。
2.短縮現象に影響する言語内的要因のひとつとして,子音が持つ素性による影響を明らかにしたこと。
一つ目の成果について述べる。日本語母語話者を対象とした実態調査から,典型的な短縮形である4拍形は高年齢層に支持されやすく,一方で3拍形は若年齢層に支持されやすいという結果が得られた。4拍形は元の語の分節音を可能な限り多く残すため,元の語との関連付けをしやすくなるような音韻情報が多い(例:メール・アドレス → メルアド)。一方で,若年齢層では原形への手がかりが少ない3拍形を好むことが明らかになった(例:メール・アドレス → メアド)。言語運用に見られるこのような世代差は,以前の世代と異なるストラテジーを志向した結果であり,短縮語形成の方略が世代間で変容しつつあることを示唆している。
二つ目の成果について述べる。調音点に関するOCP制約のうち,違反が許されやすい制約とそうでない制約が存在するという仮説を検証するために,子音が持つ素性のうち調音点による影響を調べた。実験では,それぞれ両唇,舌頂,舌背の素性が連続する語形の自然度を被験者に評価してもらうことで,OCP制約により抵触しやすい素性を明らかにすることができた。同一あるいは類似音の連続を忌避する振る舞いは,生成音韻論において見出されたOCP制約が予測する事象である。本研究は,長年の理論研究を通じて示された音韻規則や制約の妥当性を検証し得るという点,短縮現象の仕組みを韻律的側面から見た従来の観点とは異なり,素性レベルでの影響をも更に解き明かそうとする新たな試みであるという点,短縮語形成のメカニズムを実験的に解明する初めての研究であるという点で,大きな成果が得られた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初,本研究では平成29年度から30年度までの目標として,(1)短縮過程に影響する言語内的要因(2)短縮メカニズムに影響する言語外的要因を明らかにするという二つのゴールを設定していた。
まず,平成29年度には,短縮現象に影響する言語内的要因のひとつとして挙げられる音韻素性が,短縮パターンの選択にどのように関わるかについて実験による検証ならびに理論分析の両面から明らかにすることができた。1年目の前半にはデータベースを収集・分析を,1年目の後半には世代差に関する予備調査を行った。加えて,2年目に行い予定であった言語外的要因(世代差による影響)の影響についても明らかにすることができた。
これまでの研究進捗の経過をまとめ,国内外の学会で2回発表(韓國日語日文學會2017年度夏季國際學術大會(韓国),The 25th Japanese/Korean linguistics Conference(America))を行った。また,国内外の雑誌(『日本語の研究』,2017年7月、第13巻3号、pp.18-34 / Japanese/Korean Linguistics 25, forthcoming)に投稿もできている状況である。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度には,短縮語のアウトプットを決定する要因を特定するために,独自に作成したデータベースの定量分析を通じて理論的モデルを構築した。しかし,そこには解決すべき次のような問題がまだ残されている。
一つ目の問題は,個々の語にまつわる特異性が排除できないということである。このような特異性を持つ事例はデータの傾向に歪みを与えており,全体の傾向を不透明にしている。
二つ目の問題として,これまでの研究により,類似した子音の連続を回避するOCP制約が提案されてきたが,短縮語内においてもそのような傾向が観察されるかどうかについては,まだ十分な検討がなされていないという点が挙げられる。今後は,連続する音の類似性を音韻素性から判断し,どのような素性が連続すると,より補完形の選択が阻止されやすいかを明らかにする。
これらの問題を解決するためには,既に定着した実在語の分析だけでなく,語形成が持つ生産的側面に着目した実験的アプローチが必要である。音韻現象に対する実験的アプローチは,従来の理論研究が提案した制約の妥当性が検証できるという点,および,実在データだけでは説明しきれないことを明らかにすることができるという点で,有効性の高い手法であると言える。今後は,実験研究と理論研究を柱とし,短縮語形成を制御する音韻的メカニズムを解明していく予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Journal Article] The Influence of OCP-Place on Word Truncation: A study of Modern Japanese Abbreviation of Compound Loanword Nouns with Long Vowels2018

    • Author(s)
      MOON CHANGYUN
    • Journal Title

      Japanese/Korean Linguistics

      Volume: 25 Pages: -

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 短縮語の形成方略に観察される世代差について2017

    • Author(s)
      文 昶允
    • Journal Title

      日本語の研究

      Volume: 13 Pages: 18~34

    • DOI

      https://doi.org/10.20666/nihongonokenkyu.13.3_18

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 複合外来語の短縮形を決定する要因-音声学的な知見に基づいて-2017

    • Author(s)
      文 昶允
    • Organizer
      韓國日語日文學會
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] The influence of OCP on word truncation: A study of modern Japanese abbreviation of compound loanword nouns with long vowels2017

    • Author(s)
      MOON CHANGYUN
    • Organizer
      The 25th Japanese/Korean linguistics Conference
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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