2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J00631
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
園井 崇文 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 恒星 / 対流 / 星震学 |
Outline of Annual Research Achievements |
恒星進化計算においては、未だに多くの不確定要素があり、対流のモデル方法もその一つである。近年、CoRoT, Keplerなどの宇宙探査機によって、多くの恒星で振動が高精度で観測されている。その観測精度を最大限活かした星震学を行う上で、恒星進化モデルの不確定要素の改善は一層重要となっている。
近年の宇宙探査機の観測では、特に太陽型星において、太陽の「5分振動」と似た性質を持つ「太陽型振動」が遍く観測されている。太陽型振動の音波は、外層の対流領域を伝播するので、理論モデルの振動数は、対流のモデル方法に大きく影響される。恒星進化計算で用いられる対流モデルは、混合距離パラメータに依存するが、物理的に根拠のある方法でそのパラメータの値を制限する必要がある。
前年度に引き続き、太陽型星の1次元モデルにおける対流の混合距離パラメータの制限を3次元シミュレーションで得られたモデルと整合することで行ってきた。今年度はさらに、制限したパラメータ値を恒星進化コードに実装した。従来は、パラメータの値を太陽での値に固定した上での進化計算を行うことが多いが、本研究では、有効温度、表面重力加速度の変化に伴ってパラメータ値を変化させながら進化計算を行った。本研究では、"Mixing length theory"と"Full Spectrum Turbulence (FST) model"と呼ばれる対流モデルのパラメータの制限を行っているが、後者に関しては、進化経路が、パラメータ値を太陽の値に固定した場合に比べて大きく移行することがわかった。太陽モデルについては、制限したパラメータ値を用いた1次元モデルにおいて固有振動数を計算した。FSTモデルを用いた1次元モデルに関しては、乱流圧が考慮されていないという問題は残っているが、観測と近い振動数が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず、混合距離パラメータの制限については、恒星表面付近の乱流圧を考慮していない1次元モデルについては完了し、論文として出版したが、その過程で恒星進化コードへのパラメータの実装を新たに企図した。したがって、制限したパラメータ値を用いた1次元モデルの振動数については、様々な星のモデルについて調べる予定であったが、現段階では太陽モデルのみについてしか調べられていない。他の星のモデルの振動数については、乱流圧を考慮した1次元モデルの作成方法が確立した後に調べる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
乱流圧を考慮した1次元モデルについての混合距離パラメータの制限を行い、制限されたパラメータ値を用いた1次元モデルの固有振動数を観測と比較していく。乱流圧を考慮したモデルで振動を考える上では、乱流圧の摂動も考慮しなければならないが、対流と振動の相互作用を記述した時間依存性対流理論を用いて乱流圧の摂動を計算する。観測の振動数との比較によって、時間依存性対流理論に含まれているパラメータを制限することも目指す。
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Research Products
(10 results)