2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J00674
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Research Institution | Rikkyo University |
Research Fellow |
KIM DAEWOOK 立教大学, キリスト教学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 唯一神観 / 預言論争 / 混淆主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
預言論争に関する『ヘブライ語聖書』のテキスト群(サムエル記上28章、列王記上12-13、18、22章、エレミヤ書23-29章、エゼキエル書13章、ゼカリヤ書13章)の使信と修辞学的目的を分析して以下のような研究成果が得られた。 当該テキスト群の一部では、捕囚期以後(紀元前539年以後)のユダヤ共同体において、死者祭儀および混淆的な降霊術が行われていたことが確認される。そして、このテキスト群の編集者たちは唯一神教的イデオロギーと対立する死者祭儀および混淆的な降霊術を拒絶し、唯一なる神ヤハウェの声のみに従うようユダヤ共同体を説得したことが窺える。 当該テキスト群において非難される偽預言者の特徴の一つは、ヤハウェの名を使用して預言を語る異教崇拝者という点である。これは、偽預言者たちは混淆的な預言活動を行う集団であることを示している。そして当該テキスト群の編集者たちが混淆的な預言活動を非難したことは、唯一神観を形成するためのレトリックとして解釈され得る。すなわち、ヤハウェと他の神々との関係が断絶され、ヤハウェによる預言のみが真の預言と強調されることによって、ヤハウェのみが唯一の神であることがあらわれる。 当該テキスト群の一部に「律法」が強調される。これは、これらのテキスト群の編纂に関与したとされる申命記主義集団が、記述された「律法」をヤハウェの真の言葉すなわち真の預言として理解していたことを示唆する。また、申命記主義集団がヤハウェ宗教から混淆主義を排除し、律法中心の唯一神観を確立しようと努力したことが窺える。 以上の研究成果は、紀元前1千年紀の古代イスラエルの宗教における、預言論争と唯一神観形成のプロセスを理解する上で意義のある結果であり、本研究者の博士学位論文Prophetic Conflicts in the Deuteronomistic Historyに取り入れられた。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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